こんにちわ、歴史と漫画好き。いのまんです。
今回は、松浦だるま先生の新連載「太陽と月と鋼」を読んだ感想を書いていきます。
松浦だるま先生は「累~かさね~」を描いた人だったんですね、「累~かさね~」はかなりエグく人の心情を描いていた作品だった記憶があって怖くて読めなかった覚えがあります。
「太陽と月と鋼」~作品詳細
作者:松浦だるま
出版社:小学館
ジャンル:歴史?
発行巻数:既刊1巻(2020年12月現在)
あらすじ
時は天保。うだつの上がらぬ下級武士、竜土鋼之助。
亡き父母の願いは、ただ立派な「武士」として生きることだが鋼之助には、それができないある理由があった。
そんな鋼之助の元に、100両の持参金を持ち縁談を持ち掛けてくるあまりに綺麗な女性・月が現れる。
100両の持参金に目がくらみ、この縁談を承諾するが騙されているのかと疑いをかけるがそんなことはなく料理・掃除もつつがなくこなす良妻だった。
ただ、やはり月には隠している事があり、急に何者かに襲われることとなった。
鋼之助には謎の力が!?
下級武士の鋼之助は、現在無職のプータローで家もボロボロで食べるものにも困るような貧乏ぶりです。
依然していた仕事は、刃物が怖くて辞めています。
そのため仕事を探そうにも、月代(ちょんまげの事)も整えられず他のものからもバカにされている有様です。
そんな鋼之助の秘密は刃物が怖いではなく、金属に触れられないという事でした。
鋼之助に触れようとする金属物は全て彼を避けるように吹き飛んでしまいます。
彼を切ろうとしても目の前で刀が不思議と折れ曲がっていきます。
そのため武士の命であるはずの刀は持つことが出来ずに、竹光を差しています。
もちろん私生活でも、お金に触れられず金属製の家具に触れられずと不自由な生活を強いられていましたが、父の教えにより木刀での剣術修行は続けており、ただその異能の力に甘んじていただけの生活ではないことが分かります。
ただ、金属に触れないというコンプレックスが根強くあることで鋼之助本人の持つ本来の責任感や能力が閉じ込められているのではないかという事ですね。
特に終盤、何者かが月をさらいに来た場面での鋼之助は、刀の代わりに黒曜石の小刀で立ち向かっています。
ただの下級武士ではなさそうです。
謎の美人嫁
仕事もなく武士の矜持である刀も持てない鋼之助は生きていく価値が無いと考えて死を望むようになりますが、彼の元に急な縁談を持ち掛けてくるものがいます。
その縁談相手は100両の持参金を持った整った顔立ちの女性・月でした。
お金に目がくらんだ鋼之助ですが、その夜にはどうして自分のような者の所に来たのか問います。そして、結婚しての未来よりも武士として死にたいと月に伝えます。
押し込み妻だとしても新婚早々に死にたいという旦那のどこがいいのかとは思いますが、月にも大きな事情があるのは明白。
女性の趣味としては華やかではない囲碁を鋼之助とさして1ヵ月半も勝ち続けてさらに大きなハンデを与えても勝ってしまう謎の力量、今まで何をしてきてそんなに強いのか謎が深まるばかりです。
しかも身分の上の武士が子供相手に刀を抜いた場面では、その間に入って平手打ちをする気の強さも持ち合わせています。
「誰しもが望んで今の境遇に生まれついたわけでは無い」
「欠けてように見える部分は、まだ見たことがない部分なのです」(三日月を現してます)
セリフのひとつひとつに力強さがあり、月にも曲げられない矜持があるのが見受けられます。
そんな月の在り方が、自分を守って亡くなった母を思い出して少しづつ愛おしさを感じるようになっていきます。
月が来てから生活も安定してきたのか、材木石の職にもありつけるようになり、月と安心して暮らせる喜びも感じられるようになります。
物語開始時に死にたいと思っていたのに・・・、やはりその者が纏う雰囲気は大事ですね。
幸せを手に入れれそうな鋼之助だが家に帰ると、月が謎の蛇の襲来を受けていました。
鋼之助が金属に触れられない謎の力を持っていることから、他にもそんな異形の力を持つものも現れると思いましたが案の定です。
そして目的は月をさらっていくことでした。
月を守ろうと鋼之助は立ち向かいますが、普通の者ではない相手に苦戦強いられます。
そんな鋼之助を見て月は、「殺されてしまう所を、もう見たくない」と言います。
何回も見てきたような言い方から、月は永い時を生きているという事がわかりますね。
ちなみに天保とはいつの時代??
天保とは江戸時代の後期、1831~1845年までの間に期間の事です。第11代・12代の将軍の時期ですね。
大きな事件としては、天保の大飢饉からの大塩平八郎の乱があった時期で全体的にも食料不足がささやかれていて下級武士は本当に職が無かった時代です。
(ちなみに現代の年収換算で160万円くらいしかもらってません、生活できないですね)
ちなみに有名な黒船来航が1853年なのでもうしばらくしたら明治に入る時代設定です。
最後に
「累」の作者さんなので心理描写が緻密で、ドキッとさせられます。
いつもの間にかビックコミックの漫画をよく読むようになっていますね。
他にも好きな作品がありそうなので探してみることにします。
ではしたっけ、最後まで読んでいただきありがとうございました!
[著]松浦だるま
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