こんにちわ、歴史と漫画好きのいのまんです。
今回はエンターブレイン社で発行している漫画雑誌『ハルタ』で連載中の「極東事変」の感想を書いていきたいと思います!
漫画雑誌『ハルタ』は、「真のマンガ好きに捧げる本格コミック誌!」と呼ばれたり、「日本で一番イカレてる漫画雑誌」と評されたりとなんかもうヤバそうな匂い(漫画オタク臭)がプンプンする雑誌なんですが、いつの間にか僕の本棚は『ハルタ』系の占める割合が鬼滅の如く勢いで埋められています笑
そんなイカレた雑誌に掲載されているイカレた漫画を今回は紹介していきます!
「極東事変」~作品詳細
作者:大上明久利
出版社:KADOKAWA(エンターブレインブランド)
ジャンル:アクション・歴史
発行巻数:既刊2巻(2020年12月現在)
あらすじ
1945終戦直後のGHG東京。(終戦直後)
主人公はフィリピンの戦場から日本に帰還した復員兵・近衛勘九郎が東京の街をふらついていると急にGHQのMPに追われている女性・カヤを助ける。
その後、カヤの味方が集まり気絶しているだけのGHQのMPたちに銃でトドメをさして近衛にも銃を向けてきた。
彼らを止めようと近衛はカヤを撃つものの、胸を撃ち抜かれたカヤは平然と立っていた。
彼らの正体は、731部隊によって作られた生体兵器(ヴァリアント)と呼ばれる存在で、不死身ではないが経口の低い銃で撃たれても死なない頑丈な身体に改造されていた。
ヴァリアントたちに殺されそうになった近衛を救ったのは、まだ小さな少年・砕花(さいか)だった。
砕花もヴァリアントで、GHQに雇われて戦争の後片づけの仕事をしていた。
ヴァリアントを殺処分したがっているGHQ。
それに抵抗するヴァリアント達。
他のヴァリアントと敵対関係になるだが、GHQに命を狙われないためにGHQの元で働いており、行くアテのない近衛は砕花について行き、砕花の職場であるGHQ治安衛生局で働くことになる。
「極東事変」~感想
時代的に興味のある時代と、ハルタ特有の背景まで細やかな絵がかっこいいともって読みましたが、これはいい意味にも悪い意味にもヤバいですね。
絵は迫力があってかっこよかった!
銃や兵器に対する描画の詳細さは、作者さんかなりのミリタリーオタクで、調べなくては分からない当時の武器がたくさん出てきてちょっとカッコいいと思いました。
主人公の近衛が、戦場で敵から奪った兵器を使用していたから何でも使えるという設定のため本当に色んな兵器が出てきます。
銃の名前も色々と出てくるんですが、自分は細かな武器の種類に興味は無かったのでよくわからなかったのですが、絵を見れば違いがよくわかります。
銃撃戦やカーアクションと大きな動きがたくさんあって本当にかっこよかったのです。
そして終戦後の人々の暮らしも描かれますが、いのまん的にはむしろこっちの方がたくさん書いてほしかったと思えるほどにリアリティがありました。
町の外観や店の内観からすす埃みたいなのがたっているように感じられて、その当時の人々の営みを感じさせられます。
物資不足から進駐軍の食べ残しで作ったシチューの配給や、酒に工業用エタノールを混ぜて飲んだ話は何かで読んだ覚えのある話でドキッとさせられるものがありました。
そんな敗戦当時の描写は良かった思います。
物語と設定には納得いかない!
まあ自分はアクション漫画はあまり読まないんですが、なぜかというと目的意識の薄い戦いに興味が無いんですよね。
じゃあこの漫画はどうなのか?
・終戦後の個人の復讐心を煽る描写
・実在した731部隊の名前を出されている事
この2点は本来かなり神経質にならなくてはいけない点なのに、ここを題材にしています。
まず復讐心から考えましょう。
1巻で出てきた女性・カヤは夫を殺された復讐心でGHQに対立するヴァリアントの仲間たちと行動を共にしますが、ヴァリアントってご飯食べなくても生きていけるの?って疑問が浮かびます。
当時は本当に物資が不足していて、本来農業に従事するはずの人たちも戦場に連れて行かれていたために食料不足は当たり前だったで東京から東北地方にまで買い出しに行ったりしていた時代なんです。
復讐心の前に食うもん考えてからだ!他の人に迷惑かけてないっていうのは本人達の気のせいだ!
っていうのが読んだ時のいのまんの感想です。
実在した731部隊
731部隊は太平洋戦争時の旧日本帝国陸軍に実在した研究機関の一つです。
満州を拠点に、表向きは感染病予防の研究が主だったものとされていますが、実は裏で細菌兵器の研究・開発(当時ジュネーブ協定で禁止されていた)が行われていたとされている機関です。
そのために人体実験も行われていたとされていますが、その証拠となる文献等が出てきていません。
この事から、本作品の出てくる731部隊のお話や生体兵器に関する設定は今なお確たる証拠が無い話から出ている事です。
臭いものに蓋をするな!って言われるかもしれないですけど、この事を知らなかった人がこの漫画を読んで勘違いするかもしれない事を考えるとあまりよくなかったんじゃないかなって思います。
最後に
終戦直後のお話なんですが、フィリピン上がりの近衛復員兵は1945年9月の時点でどうやって日本に帰ってきたのでしょうかね。
ポツダム宣言の調印が9月2日なので、この時点でフィリピンにいる兵士が帰ってくる術はないはずなんですよね。
731部隊にも同じことが言えますね。
こうゆう描き方をするなら、実在世界を使わずにそれに近い世界を作り上げてそれに近い部隊を作ってくれれば受け入れやすかったんですけどね。
短編集の「キラークイーン」の方が自分は好きでしたね。
したっけ、最後まで読んでいただきありがとうございました。
[著者]大上明久利
コメント