いのまんです。
今回は佐藤はつき先生作の「オレが私になるまで」を紹介したいと思います。
小学2年生の男の子が、翌朝急に女の子になってしまいます。
原因は作中オリジナルの病気「突発性性転換症候群」という病のせいです。
性の入れ替わりをイメージするとどうしても「らんま1/2」のようなコメディを思い出してしまうですが、コメディっぽさは全くありません。
主人公のあきらが、元男の子という自分のイメージ、男としての付き合ってきた男女の友人たちと、女の子になってから関わる男女の友人たち。
また、親も女の子になってしまった明に直接的な描写はないまでも負い目が見え隠れします。
男の子であるべき、女の子であるべき、定型的な事はあるが男性だからできる事女性だからできる事を深い意味まで追求している作品となっています。
「オレが私になるまで」~作品詳細
作者:佐藤はつき
出版社:KADOKAWA
ジャンル:社会・青春
発行巻数:既刊4巻(2022年5月現在)
あらすじ
藤宮明・小学校2年生は男の子、だった。
ある朝、髪が伸びて付いてるものが付いておらず、医者に診てもらうと「突発性性転換症候群」と診断されて女の子になってしまった。
女の子として生きていかなければならない現状に「いつかは男に戻れるはず」という葛藤の日々を過ごしていく。
しかし、男の子であった時の視点と女の子である視点を主観的客観的に捉えることによって自分の変化を受け入れるようになっていく。
女の子になってしまった男の子で生きるのか、女の子を受け入れて生きるのかをクラスメイトや色々な人との関わりで変化していく。
「オレが私になるまで」~感想・ネタバレ有
タイトルにひかれて読み始めましたが、「性同一性障害」のような現実にある病気ではなく「突発性性転換症候群」という急に性別が変わるという架空の病気のお話でした。
らんま2/1のように水を被ったら女の子に変わる!みたいなコメディ展開ではなく、急に女の子に変わってしまった男の子のお話です。
少年が女の子に
物語開始当初は男の子の明君はやんちゃで、女の子のスカートをめくったりする典型的な小学2年生の男の子でしたが朝起きたら急に女の子になってしまいます。
翌日からは小学校で物珍し気な扱いをされて同級生の男子に無理やり服を脱がされて本当に女の子になったのかを確認されたりするんですが、実際リアルでも同じ事って起こってしまうんでしょうね。
それを善悪と捉えずに好奇心と勢いで行動してしまうのが子供の特性みたいなものですから。
明君は、転校して元々男の子だったことを隠して生活を始めます。
外見は女の子ですが、精神的には男の子なので第1人称を「俺」と言ったりして同級生の女の子から「男の子みたい」と言われたりしてバレないように隠れてせいかつするようになります。
そんな中でも仲良くしてくれる子、渡井瑠海が現れて仲良くなっていきます。
男の子にいずれ戻れると思っている明が、前の学校にいた時にされた仕打ちが心のトラウマとなっています。
そんな彼にとって、自分が男の子だとバレないようにしていく事と女の子として成長していく明の姿が健気で応援したくなります。
少年は美少女に
初めは男の子っぽかった明だが、「おしゃれをすれば可愛い」と言ってくれた瑠海のおかげで徐々に女の子っぽくなっていきます。
女の子として成長をしていくにつれて、自分がまだ男の子だったころに女子にしてきた行動が自分がどれだけその子にとって嫌なことをしてきたのかを反省します。
それと共に自分が女の子として生きていく事を受け入れるようになっていくが、母親は女の子っぽい格好をする明を受け入れられずにいます。
母親としては男の子を生んで、女の子になってしまう病気にかかってしまった明に引け目もあるし男の子に戻りたいと思っていると親心に考えているんしょうね。受け入れられないじゃなくて、本人の望みは男の子っぽくなりたいって思いこんでいるんでしょう。
けど、小学生だった明は中学生へと成長していって男の子の思考から徐々に変化していき女性の思考へと変化していきます。
この年になったら自分が男の子には戻れないことを理解できるようになっていきますよね。
その事を悲観せずに受け入れていく姿は、健気ではなく純粋に成長を見れて嬉しく思うし可愛いと思ってしまいます。
最後に
凄く単純なお話なんですけどね、とても感情移入してしまいました。
男として生まれて、女の子として生きることになる変化はわからないですけど想像することはできますからね。
自分だったらそのまま女の子の道を行くのかな?男の子だと言い成長するのかな?
けど、この話は体が変化した話だからファンタジーですけど心が性別と逆の場合もあってそれに苦しんでいる人もいます。
最終的に自分が出会った時は受け入れてあげるのがベストなんだと思える作品でした。
今は中学生の明ですが、おそらく物語は高校卒業までを描くと思います。その時の明の心情がどのような変化をしているのかが楽しみですね。
したっけね。、ばいばい!
[著者]佐藤はつき
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