「仮面ライダーBLACK SUN」評価・結末~カッコいいけど、ラストは胸糞悪い賛否両論作

こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。

今回はAmazonオリジナルドラマ「仮面ライダーBLACK SUN(ブラックサン)」を見た感想です。

いきなり言うのもおかしいけれど、面白くないと思っても3話の中村倫也の演説シーン、そしてカッコよくも悲しい第5話まで見てほしいと思います。
折り返し地点だと言われそうだが、やっぱり5話の盛り上がり方がヤバいくらいに面白いです!

ただ自分的には5話がピークでした。
批判的内容も多く含まれますので、ご理解のほどよろしくお願いします。

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「仮面ライダーBLACK」のパーツを借りて現代に

仮面ライダーシリーズとしてレジェンドクラスの作品「仮面ライダーBLACK」のリボーン作品。

内容的には特撮ヒーローアクション物から、2022年を舞台に政治問題・差別問題を主に取り入れた特撮社会派アクション物に変化した作品となっています。

人間と怪人の格差・差別問題をメインで扱っており、テーマは完全に社会派。

日曜早朝にやっている子供~お母さん迄見るようなスタイリッシュな仮面ライダーではありません。

昭和に寄せた仮面ライダーと言った方がわかりやすい不気味でグロテスクになっています。

好みは人それぞれだと思いますが、過度なCGを使わずにいる事で重厚感ある物語にさらに深みを出しています。

「仮面ライダー」は元々孤独なヒーローと言うのがコンセプトの一つでした。
今回の物語の暗さは、石森章太郎がデザインした仮面ライダーを強くリスペクトしたがゆえに生まれた存在と言えるでしょう。

話をそのままやるとリメイク、今回はあくまでも「仮面ライダーBLACK」という枠組みを利用したのでリボーン作品となっています。

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若い信彦、おじさんの光太郎

物語の舞台は2022年の現代ですが、ときおり1972年の学生運動が行われていた時代に場面転換します。

それは主人公・南光太郎と秋月信彦が参加していた学生運動のシーンが、今回の物語の根幹である怪人差別の原点ともいえる状況を作り出していたから。

秘密結社ゴルゴムを倒せずに落ちぶれた仮面ライダーブラック・南光太郎は、借金取りで生計を立てるような生活を送っていました。

ゴルゴム党が政権を握っており、怪人で闇取引をしている堂波総理大臣がトップにいます。
人間側と怪人側の争いも絶えず、ヘイトスピーチやデモが横行。

正直誰が悪いのか全く分からない作品となっています。

怪人を立てようと思えば人間が立たず、人間を立てようと思えば怪人が立たず、現実の世の中に普通にあるような物事が取り上げられています。

ただ難しいのは怪人は人間を食べる事によって生命の時間が伸びるという点。

人肉を利用して作られた”ヘヴン”を食べる事で若々しさを保てる怪人。
シャドームーンである秋月信彦が若い姿なのはこの”ヘヴン”を食べているからで、食べていないブラックサン・南光太郎はくたびれたおじさんの姿となっています。

ただ光太郎の目的としては、1972年に行動を共にしたゆかりという女性の言葉「創世王を殺して今いる怪人が平等に生きる社会を目指す」というのを目的に行動しています。

”ヘヴン”を食べた方がいいと思うタイミングはたくさんあったのに食べなかった。
ゆかりが言っていた平等に生きる社会、怪人も自然に年を重ねていき寿命を纏うする社会が健全だと考えたのでしょう。

胸糞悪すぎる

怪人が誕生したのは第2次世界大戦中に行われた生物兵器の人体実験が元となっています。

創世王が誕生した経緯は日食と蝗害(イナゴの大量発生)が重なったときに人体実験されていた男が偶然、創世王になったとされています。
当初、創世王は光太郎か信彦の父親がなったものかと思ってましたが、全く関係ない人物がなっていました。

元ネタは戦時中に本当にあった731部隊を元に作られているものです。

731部隊に関しては調べていただければすぐにわかりますので、ここで詳しく描くことはご勘弁願います。

ここでの実験を指示していたのが堂波総理の祖父・堂波道之助。
怪人が日本で生まれた要因です。

この事を発見した葵が国連のスピーチで全てをぶちまけています。

正直言ってこの展開があまりにチープです。

このような問題が一個人から世界に晒されれば日本に対する国際批判は必至となり、内閣解散なんて事態では収まらずに日本という国自体が無くなる事案です。
人種差別とは論点がすり替えられている事が問題だと思います。

少し考えればわかる事なはずですが…

どこに向けられて製作されているのか?
差別・思想・戦争への問題提起なのか?
反日・反政府的内容なのか?

過去にあった出来事から目をそらしては、現在を形成することは出来ません。受け止めて、未来がより良くなるようにしていきたいと思っています。
しかし、怪人が生まれた経緯を現実にあった事をモチーフにして醜悪に作られた事に対しては到底許せるものではありません。
あまりに胸糞悪い内容でした。

社会派とは名ばかりのチープさ

人種差別に思想問題そして戦争問題、この問題を挙げ社会派と呼ぶ作品になっています。

今現在でも行われている人種問題は作品内で答えの出る問題ではないと思いますので、最後の結末で答えを出さないのは良いと思います。

けど、ヒロインの葵が武力にて”永遠に戦い続ける”という表現は間違っています。
国連で「怪人と人間の差別問題」を提起している立場なのに、最終回ラストで武力を持って差別と闘うというのは永遠に被害が続いていくという問題と一緒のような気がします。

過去の歴史、今も続く戦争の背景からしても現実社会で優生思想を武力で覆す未来は見えてきません。

裏切りが相次いだ作品として、葵という存在は人間から怪人へと変えられた存在です。
葵がブラックサン=創世王を殺してはいるが、怪人同士の争いのタネを排除したにすぎません。
武力を利用しない人物描いてほしかったです。

最期に武力革命を起こそうとするのではなく、新たな怪人政党を作るなりして争わずに未来へと繋げる道のりを示して欲しかった。

挑戦的過ぎた作品選択

アマゾンさんとか、ネトフリさんって知名度重視というか怖いもの知らずというか、ファンの心理を逆なでする作品ばかりを選んで映像化しているように感じます。

なんでこんな発言をするかと言うと、「仮面ライダーBLACK」に対しての熱烈な人気。

「仮面ライダーBLACK」の前後の年代って仮面ライダーシリーズがやっておらず、幅広い年代の男の子たちが集中して視聴していた根強い人気の作品なんです。

私自身も当時幼稚園くらいの時期に近所のお兄ちゃんたちと「仮面ライダーBLACK」ごっこをして遊んでいた記憶があります。
40代前後の男性は大体の人が見ていたのではないでしょうか?

そんな人気作品を新に作り直すとすると賛否両論が生まれて当たり前です。

最後まで視聴して、現代で蘇った「仮面ライダーBLACK」の姿はとてもカッコよく興奮しましたが、ストーリーとしてはシコリが残るというか視聴しなければよかったと思えてしまいました。

始めの国連スピーチから世界に向けて作られているのかと思いきや、結局は狭い世界での内部闘争。
この内容で物語を作りたいのなら、レジェンドクラスの「仮面ライダーBLACK」で制作する必要は無かったです。

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