こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。
今回は「ミミズクと夜の王」のコミカライズ最終4巻を読んだ感想を書いていきます。
率直に最終巻まで読んでよかったと思える作品でした。
別段、奇想天外な出来事が起こるわけではなく想像しえる内容でしたが、それでも人間と魔物の間にある偏見のようなものを取り払って優しさに包まれたラストは感動的でした。
漫画版で読ませていただいたが、是非小説版でも拝読してみたいと思う作品です。
そして絵本にして子供たちにも読み聞かせしてあげたいと思いました。
アスキー・メディアワークスの関係者様、万が一見つけたら企画化よろしくお願いします!
「ミミズクと夜の王」~作品詳細
作者:原作・紅玉いづき
作画・鈴木ゆう
出版社:白泉社
ジャンル:ファンタジー
発行巻数:全4巻(2022年10月現在)
「ミミズクと夜の王」~あらすじ
痛み、慟哭、死の匂い。
蘇った記憶は、決して幸福に満ちたものではなく。
けれど、もう一度取り戻す。
痛みも苦しみも、すべてを抱いて あなたのもとへ駆けてゆく。
あたしは戦う。
あなたを取り戻す、そのために戦う。
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「ミミズクと夜の王」~感想
ミミズクの記憶と王の目的
人は知らないものや得体のしれないものに恐怖するもの。
国王が夜の王を捕らえたのには2重の意味があって、恐怖と治療でした。
夜の王・フクロウがミミズクの記憶を消したのは、思い出す必要のない辛い記憶だったからで、その辛い記憶が「私を食べて」と言った倫理観の失われたミミズクという存在を生み出してしまいました。
フクロウは記憶の代わりに人間らしさを取り戻させてあげたと言えるでしょう。
フクロウの優しさで得された記憶を呼びおこそうとしているのが王国の人間たちです。
結局ミミズクは、人に壊されて魔物に救われて、また人間に傷つけられてしまいます。
人間の業の深さが描かれています。
木を切って燃料や資材として森林や山林を壊した反面、人の手で木を植えて森や緑を取り戻そうとします。
その縮図のようなものです。
結局人は魔物に恐怖して、勝手に悪と判断したけど、ミミズク本人にとっての悪魔は人間でした。
ミミズクは人間を恨んでもいいです。
それでも環境破壊する人間もいれば、木を植える人間もいます。
ミミズクの母になりたいと言ったオリエッタ、聖騎士・デュークの妻です。
ミミズクが受けた仕打ちに怒りと嫌悪を示しています。
オリエッタと聖騎士デュークの最初の関係は、孤児であったオリエッタを救い出した事から始まっています。
似たような環境であったミミズクに共感するところがあったと言えるたのでしょう。
ミミズクの母になろうとするオリエッタでしたが、ミミズクはフクロウと夜の森に変える強い意志を見せました。
短い間でもミミズクとオリエッタの関係は間違いなく親子でしたね。
正義の定義
本作品の一番ポイントとなるのは”正義”という部分でしょう。
原作小説は2007年、この時代の前後はまさに曖昧な正義やダークヒーロー的な路線が多くあった時代です。
鋼の錬金術師が禁忌を犯した主人公であったり、デスノートの闇落ちする夜神月、コードギアスのルルーシュ・ランペルージとちょっと特殊なヒーロー像がフューチャーされてきた時代でした。
2010年代には逆にはっきりとわかりやすい勧善懲悪の半沢直樹、鬼滅の刃に代表されるように言葉で状況説明するような作品が増えてきました。
小説を読んだことが無いのでわかりませんが、漫画版では状況の説明をしながらキャラクターが行動して読者に優しい表現方法がとられているように感じました。
「何故来た?」
「どうして来ないと思うの?」
「お前は幸福を手に入れた」
「手に入れたわ」
「でも、あなたがいない」
このセリフの場面、もう少し細かいセリフ回しになっているのですがこのセリフ量でも十分伝わるはずです。
フクロウは囚われの身からミミズクに救い出されて、手足の動かない王子の手足を動くようにして去っていきます。
その手足には不思議な模様が浮かび上がっています。
フクロウはその手足を指して「後に、魔王の手先と呼ばれるようになる事もあるだろう」と言っています。
これ言わなければ手足の模様に気が付かなかった恐れもあります。
こうゆう細かな描写に気が付けるように、緻密なセリフが用意されていました。
最期はフクロウとミミズクは夜の森に帰っていきますが、その過程の中で誰も傷つけることは無かったですね。
ミミズクの最期の笑顔は、城での出来事から森に帰ってくるまでに過程で得られた満足感が伝わってくる、人間らしさを取り戻した最高の笑顔でした。
さいごに
1巻を読んだときは続きを読むのやめようかと思うくらいに、ミミズクのぶっ飛んだ倫理観に腹が立ちました。
けど作者の方々からすれば、読者にそう伝わる時点で成功と言えますね。
ミミズクの人間性がどこからきているのかが気になり、2巻も購入しましたが完全に惹きつけられましたね。
鈴木ゆう先生、コミカライズしていただきありがとうございました。
原作の方も読ませていただきます!
最後までお読みいただきありがとうございました。
したっけね!
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