こんにちわ、いのまんです。
岡田准一主演で5月27日に映画が公開予定でしたがコロナウイルスの影響で延期となりましたね。
楽しみにされていた方は残念だったと思います、まさしく自分もその一人です。
しかし、この機会に原作チェックをしてみてはいかがでしょうか?
燃えよ剣は土方歳三を主人公とした歴史好きな方にはもちろん、この作品がきっかけで土方歳三ファンになった方も多いと思うロングセラー小説です!
1964年完結と古い小説にも拘わらず、恐ろしく読みやすく描かれております!
歴史慣れしていない方でもわかりやすく描かれている為、歴史小説初心者にも進めやすい一作となっています!
「燃えよ剣」~作品詳細
作者:司馬遼太郎
連載期間:1962~1964年
ジャンル:幕末、新選組
巻数:文庫上・下巻
あらすじ
時は江戸時代末期、京都で人斬り集団と恐れられた「新選組」。
新選組・副長土方歳三の視点で歳三の少年時代から浪士組入隊~新選組設立~鳥羽伏見~函館戦争と幕末の動乱を最前線で駆け抜けた男の物語です。
多摩のバラガキ
バラガキとは、現代風に言えば不良少年です。ご存じの方も多いとは思いますが、主人公の土方歳三は相当のやんちゃ坊主でした笑
物語初めは女の寝床へ夜這いをしに行き(この時代の一部地域では夜這いは文化だったそうです)、剣術は多摩の試衛館で磨き道場主の近藤勇や沖田総司と腕を磨いていたが、他にも生業の薬売りの行商に行っては他道場での修行に明け暮れる日々でした。
新選組副長・土方歳三
幕末の動乱も佳境に差し掛かり京都では過激派が日夜暗躍していたところ(緋村抜刀斎みたいな人たちですね)、京都へ上洛する将軍家茂の護衛を目的とした集団「浪士組」が北辰一刀流・清河八郎のもと結成されます。
試衛館の仲間と共にこれに応じて京都へ行くも、京都についたところで結成首謀者の清河八郎が幕府側ではなく、天皇側につくと裏切り宣言(尊王攘夷はと呼ばれる方ですね)しますが、歳三はそれを良しとせずに試衛館の近藤勇と、元水戸天狗党の芹沢鴨を筆頭にした、「会津中将様御預かり」の武装警察「新選組」を結成いたします。
副長となった歳三は組織の根幹を作り、隊規への順守を元に隊を引き締めていきますが新選組結成時に手を組んだ芹沢鴨を始めとした芹沢派を隊規不履行として処罰となり名実ともに新選組は近藤勇と土方歳三の組織となっていきます。
京都見回りを中心に、かの有名な池田屋事件・蛤御門の変といった時代を動かす重大な事件もあり、京都で大きく名をはせる存在となりますが300年の時を経て徳川幕府には国内・国外を立て直す力はもうありませんでした。
喧嘩屋・トシ
15代将軍・徳川慶喜が大政奉還(政権を天皇中心に戻すよってこと)によって徳川幕府の事実上消滅となってしまいます。
名実ともに幕府をつぶそうとする薩長とそれでも幕府を守ろうとする者たちの戦い、戊辰戦争がここに始まります。
その緒戦が有名な鳥羽・伏見の戦いであるが、幕府軍の士気は低く新選組が局地的に勝利を収めようますが全体の勝利には結びつかず敗退してしまいます。
大阪に撤退した彼らは軍を立て直して将軍慶喜を立てて戦えば勝てる戦だと歳三は考えていたが、将軍慶喜を始めとした大名は夜中のうちに江戸に逃げ帰ります。
(組織トップに見捨てられてしまったら・・・、自分の立場に立ってもぞっとしますね)
その後は江戸にもどるが各地で敗退を繰り返し、江戸城が無血開城したことから江戸での戦も意味の成すものではなくなってしまいます。
しかし、歳三は徹底抗戦を譲らずに戦いの場を北へ北へと移していく事となります。
北海道の地で常勝を築く
会津での戦いの後に陸軍・大鳥圭介、海軍・榎本武揚と共に北海道函館を最後の戦の場にします。
(土方歳三が伝説級の働きをしたこと、隊のトップとして神がかりした働きをしたのがこの函館戦争で土方歳三の人気が詰まった土地だと思ってます!)
しかし、旧幕府軍ははおだて移動の際に主力艦隊を失い唯一勝っていた海軍力を失っており、逆に新政府軍は最新鋭の装甲艦を手に入れており海軍力も逆転したこととなります。
この装甲艦を強奪すべく戦となった宮古湾海戦、局地的勝利をおさめ続けた二股口の戦いなど読み手としても手に汗握る展開となり常勝将軍としての地位を確立します。
しかし、新政府軍の増援が後を絶たずに戦線縮小を余儀なくされ五稜郭まで撤退します。
五稜郭にて籠城戦を行うという声も大多数だったが、歳三はここでも徹底抗戦を貫きます。
歳三はいままで新選組で行っていたこと、またこの戦において散っていった者たちにこのまま命を永らせても仕方が無いと考えており敵地特攻して散っていく事となりました。
燃えよ剣が長く愛されている理由
近藤勇と沖田総司の魅力
土方歳三は武州の試衛館という小さな道場で剣術の修行に励んでいました。
その道場主が新選組局長・近藤勇であり、一番隊隊長・沖田総司です。
新選組と言えば、この3人が主役と言っても過言ではありません!
土方歳三だけでも人物像として魅力たっぷりであるにも関わらず、近藤勇や沖田総司に関しても小説一本かけそうなほどに魅力とドラマが詰まった人物です。
歳三の立場からの見える二人は、勢いに乗っているときは英雄となれる近藤勇やいつも笑顔を絶やさずに絶大の信頼を寄せる沖田総司です。
近藤に関しては嫌いじゃないけど落ち着きがない!
沖田は可愛くて仕方ない!
というように、歳三だけではなくこの近藤・沖田の両名やまたほかの新撰組隊士にも魅力たっぷりに描かれていることで歳三の魅力がさらに引き出されてますね!
史実と創作の化学反応
燃えよ剣は土方歳三の視点から幕末という時代を描いており史実を元に描かれていますが、時にフィクションも交えて描かれています。
多摩時代から剣の因縁の相手は物語中盤の盛り上がりを拡大させております。
また歳三は数多くの女を泣かせてきたと噂されておりますが、この作品においては純情な恋を貫ぬくことで血なまぐさい話ばかりの中での安息所のような場面も描かれています。
ただ時代を追うだけではなく土方歳三の人生をよりドラマチックに描かれていることが魅力です!
戦闘シーンの緻密さ
やっぱりここが一番です!
シーンの一場面づつ切り取るように書かれて臨場感あふれる戦闘シーンとなります。
そこからさらに資料によっての研究を元に事件の発端理由やどのような場所での戦闘か、軍の規模は?戦闘の参加者は?といったように感覚的に味わうだけでなく、その場にいるかのような戦闘場面になることで、まるで自分が土方歳三や一人の部下としているような気持ちで読むことが出来ます!
また、もっとも僕が好きな場面は宮古湾海戦です。
函館に本拠地を構えたものの海軍力が劣っている旧幕府軍は新政府軍の新鋭艦・甲鉄を強奪する作戦を立てます、この作戦の立案者は土方歳三で現状ある軍艦に切り込み隊を乗せて甲鉄に乗り込み直接それを奪うという大胆不敵な作戦です。
ただ、それも失敗に終わってしまいます。軍艦3艦で向かったものの内2艦が行方が分からなくなったこと、また歳三の乗り込んでいる軍艦と奪う予定の甲鉄が飛び移るには危険な高さだったことなどとあります。
ただ、この海戦は物語がクライマックスに突入していると感じさせられる一場面です!
感想
この作品はもう60年近く前の小説なんですが全然色あせないですね。
何人の人に読まれてきたのか、またどのくらいの作品たちに影響を与えてきたのか計り知れないものがあります!
けど純粋に何がすごいって
土方歳三の信念がすごいんですよね!
何回も読んで何回も思わされるのが、散り際の美学なんです!
それも土方歳三が新選組副長として自分の仕事を徹底的にやり抜いて各地を転戦してあきらめない姿勢を見せたからこそ生まれる感動だと思います。
自分の人生も、ここまでドラマチックにはならなくても「やり抜いたぞ!」「燃え尽きたぞ!」という証を立てたいものだと思える作品です!
じゃあね、したっけ!
コメント