新海誠原作漫画版「彼女と彼女の猫」感想~彼女と猫にだけ流れる秒速5センチメートル

漫画 

こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。

今回は、言わずも知れた新海誠監督原作の作品を「ブルーピリオド」で人気を博している山口つばさ先生作画でコミカライズされた「彼女と彼女の猫」を紹介いたします!

懐かしい感じの新海誠作品です。
それもそのはずで、1999年に自主制作映画の作品なので新海誠がまだ20代中盤の頃に制作された作品が原点ですね。

初期の作品らしく、シャボン玉のように繊細な心理描写が特徴となってます。
そして何よりも、”新海ワールド”を余すことなく原稿に落とし込んだ山口つばさ先生の作画が素晴らしい作品となっています。

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「彼女と彼女の猫」~作品詳細

作者:原作・新海誠
   漫画・山口つばさ

出版社:講談社

ジャンル:日常

発行巻数:全1巻

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「彼女と彼女の猫」~あらすじ

「季節は春のはじめ、その日は雨だった。僕は彼女に拾われた」……春に出会ったひとり暮らしの彼女と猫。

彼女はひとりで暮らすことで世界にひとりで立つことを知り、チョビと名付けられた猫は彼女に拾われて世界とつながる。

一人と一匹の時間はゆっくり流れるが、世界の厳しさは彼女に追いついて……。

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時の流れが新海ワールド

風景描写の緻密さ・美しさを”新海ワールド”と呼びますが、この言葉を聞いたときに新海誠作品の独特な時間経過の事を言っているのだと思いました。

新海誠さんの作品って同じ場面の背景から人物や季節を動かしている事が多くて、時の流れがゆっくりに感じるんですよね。

多分「雲のむこう、約束の場所」「秒速5センチメートル」の印象が強すぎるのが自分の中に影響しているのだと思いますが、コミカライズされた「彼女と彼女の猫」もその雰囲気を存分に発揮されていました。

漫画になったら新海誠の作品の良さが無くなってしまうのではないかと思いましたが、大きな窓を使って描かれる季節と風景がちゃんと新海誠の原作をイメージして書かれたのが伝わってきました。

「彼女と彼女の猫」の意図と新海誠監督の演出を深くまで理解してから原稿に落とし込んでくるのが伝わってきました!

穏やかな心理描写が素晴らしい

「君の名は」が出るまでの新海誠作品って盛上げ不足でした。

「雲のむこう、約束の場所」「秒速5センチメートル」、淡々と時間が流れていくんですよね。さっき言ったように背景を中心にして人物が動いていく、その流れが独特な雰囲気を纏っている。

「彼女と彼女の猫」は、新社会人の美優という女性と拾われた猫・チョビの日常が描かれていきますがこの1人と一匹の生活がたったの一巻の漫画に過ぎないのに1年間を一緒に過ごしているように感じさせます。

それは猫・チョビの回想がメインで物語進行していく影響でしょう。
「僕は彼女の猫だ。」
「彼女は恋人のように綺麗で、母親のように優しい」

人間の美優の時間だけではなくて、チョビの時間も共有されている事で二人の関係に絆がある事が伝わってきます。

言葉ではなく絵で見せる心理描写

春が過ぎ、夏が過ぎ、秋を迎えて、冬になる。
チョボの美優を信頼する変わらない日常と、新社会人として疲弊していく美憂が描かれていきますが、詳しい事は描かれないんですよね。

物語初めに

「毎日なにかのタイムリミットを迎えている気がして
でもそれが何がわからない
私だけが世界に馴染めてないみたい」

という美優の独り言のような呟きがります。
この言葉一つで美優が自分の人生に対して、言葉では表しにくい募りみたいな物を感じているのがわかります。

そんな美優の心情風景を知り、絵と少しの言葉だけで物語に説得力が生まれてくるものですね。
またチョビと一緒に客観的視点で見る事によって、徐々に追い詰められていく美優の状況と「傍にいるよ」という意味の大切さを感じられる作品でした。

さいごに

「君の名は」「天気の子」に慣れてしまうんと良い意味で違和感が感じられる作品ですね。

アニメ版もあるようなので見てみようと思います!

ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
したっけね!

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