時代劇に新風が巻き起こっています!
こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。
今回は、筑前助広先生のデビュー作「谷中の用心棒 萩尾大楽: 阿芙蓉抜け荷始末」の感想・紹介です。
驚いてください・・・小説投稿サイト出身の作者さんです!
何かと敬遠されがちな”小説投稿サイト”ですが、全てが異世界転生モノでは無いという事ですね。
内容は江戸時代を舞台に、アヘン取引の解明と壊滅を図っていくクライムサスペンス。
江戸を舞台にした時代劇だが、時代劇でありつつ現代風にアレンジされていて普段時代劇を読まない人でも必ず楽しめる改作となっている!
犯罪シンジケート・裏取引もの・クライムサスペンスが好きな方は100%ハマる作品!
「谷中の用心棒 萩尾大楽: 阿芙蓉抜け荷始末」~作品詳細
作者:筑前助広
出版社:アルファポリス
ジャンル:時代劇・クライムサスペンス
「谷中の用心棒 萩尾大楽: 阿芙蓉抜け荷始末」~あらすじ
江戸は谷中で用心棒稼業を営み、「閻羅遮」と畏れられる男、萩尾大楽。
家督を譲った弟が脱藩したことを報された彼は、そこに政争の臭いを嗅ぎ取り、裏の事情を探り始める。
そこで見えてきたのは、御禁制品である阿芙蓉(アヘン)の密輸を巡り、江戸と九州の故郷に黒い繋がりがあること。
大楽は弟を守るべく、江戸の裏社会や藩政の内部に巣食う、強大な敵に立ち向かっていく――閻魔の行く手すら遮る男が、権謀術数渦巻く闇を往く!
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こんな重厚な作品がまさかのデビュー作!
なんと作者の筑前助広先生、「谷中の用心棒 萩尾大楽: 阿芙蓉抜け荷始末」がデビュー作。
こんなにも重厚かつ読みごたえがあるにもかかわらず、読者に寄り添った文章を書ける方がまさか今作品がデビュー作品とはびっくりです。
筑前先生ですが、〖アルファポリス第6回歴史・時代小説大賞特別賞〗を受賞し、書籍発売へと繋げたようです。
おめでとうございます!!
第1回から応募されているそうで第6回目にして特別賞を受賞となりました。
きっとそれまで多くの苦労と勉強をされているのが作品の中から感じられましたね。
そんな時代劇の特徴のある文言や単語を、現代風に読みやすくかみ砕いているのが本当に凄い。
そして題材も密売による裏取引の壊滅という、外国映画でも王道のクライムサスペンスとなっていて、映画ならガンアクションとなる所を本作では剣劇アクションに変換。
こんなの面白いに決まってる!
「谷中の用心棒 萩尾大楽: 阿芙蓉抜け荷始末」が凄い3つの理由!
プロローグから凄い!!
小説は、冒頭での掴みが非常に大事である。
この物語はどんな人物が出てくるのか?
どんな役割を担っているのか?
重要となる案件はなんなのか?
冒頭・プロローグがぼやけている小説は中々その小説の世界観に入り込むことが出来ない。
例えば最近流行りの異世界転生。
これは多くの人が題材にしていて、「説明しなくても世界観を伝えられる」という現在では手抜きのコンテンツだと自分は思っている。
読者から想像する手間を2・3個省いても伝わるのだから便利な設定だと思う。
逆に言えば、歴史小説を読む人も減っていればテレビで時代劇を見る機会もほぼ無い現代社会で時代小説は読むハードルがめちゃくちゃ高い!
いざ読んだとしても、想像できない昔の日本だと面白くない。
そんな懸念を吹っ飛ばしてくれるのが「谷中の用心棒」。
主人公萩尾大楽!
萩尾道場の道場主にて、谷中の用心棒!
軽快なアクションシーン!
そして重要案件となるアヘン!
プロローグを読めば、作品の世界観に引き込まれてしまう。
アマゾンで試し読みできるので、迷ってなくても是非読んでみてほしい。
きっとそのまま購入してしまうだろう。
馴染にくい世界観への引き込み方が本当に凄い!
洗練された時代劇が凄い!!
時代劇と言えば、古臭くと敬遠されがち。
おそらく、現代的に使われない用語や文法、単語、そして日本特有のネットリとした闇取引も今では受けない要素。
「越後屋ぁぁ、おぉぬしもワルよぉのぉぉ」
誇張した勝手な時代劇のイメージだが、これは現代では受けない。
そんな古いイメージを払拭させているのは、時代劇風の言葉使いだろう。
昔の時代劇みたいに耳慣れない文言だけで構成されているのではない事、会話場面のテンポが良いため意味が分からない単語も流れで理解できる。
「やい、その手を放しやがれ」
「お前が、娘さんの手を離したらな」
すぐにそんな場面か想像できる構成となっている。
時代劇特有の意味の読み取りにくい単語は、雰囲気だけ感じ取ればいい。
単語の前後を読み取れば、その単語の意味も分かるように書いてくれている。
分かりにくい所を読ませるのが本当に凄い!
みんな大好きクライムサスペンスが凄い!!
馴染みやすい要素が散りばめられている!
時代劇と何度も言っているが、もっとわかりやすく言えば
”江戸時代を舞台にしたクライムサスペンス”
敬遠されがち時代劇でも、みんな大好きクライムサスペンスが混ざれば鬼に金棒である。
時代小説でありながらも、現代小説っぽさがあるのはクライムサスペンスという読まれることが多いジャンルを勉強して時代劇に違和感の無いように落とし込む方法を研究してきた成果なんでしょう。
特に、ギャングモノと違法薬物なんて垂涎のネタ。
「BANANA FISH」の時代劇版のよう!(かなり強引だが)
さらにもう一つ。
みんな大好きな二つ名!
- 第六天魔王 織田信長
- 越後の龍 上杉謙信
- 甲斐の虎 武田信玄
- 独眼竜 伊達政宗
- ミスター 長嶋茂雄
- マンガの神様 手塚治虫
- 赤い彗星 シャア・アズナブル
アニメだけではなく歴史上でも、二つ名をつけられる偉人たちが多い。
そして主人公萩尾道楽の二つ名
閻蘿遮 萩尾大楽
閻魔さまでも道を遮るという理由の二つ名だが、これがいい!
至って真面目な二つ名だが、現代人にとっては中2病感があってむしろ馴染みやすいといえる。
こうして現代人に読まれているジャンルを散りばめ構成する事によって、馴染みやすい作品となったのだろう。
時代劇を読まない人にも馴染みやすい作品になっているのが凄い!
さいごに
凄い凄いばかり行ってしまったが、本当に面白かった!
直近で佐伯泰英先生の「浮世小路の姉妹」も面白かったが、最近の時代劇は予想以上に読みやすくなっています!
アクション場面も会談場面も多いのですが、アクションシーンなら寺坂という人物が畳に抜き身の刀を差していくシーンは、確かに見ていて胸が熱くなる。漫画や映画でも見るようなシーンだが、寺坂の言う通り「一度はやってみたい憧れ」と言ってるのがわかりますね!
会談の場面では、博多に帰り主計の母・松寿庵と再会した場面。
話しにくそうにしている大楽を見ていると、”閻蘿遮”も人の子かと感じてしまいました。
作品の裏に綿密な知識が潜み、文献を漁って、研究して、想像力を限りなく発揮。
時代劇を描きながらも古臭くならないように、力を尽くして作品に落とし込んでいます!
新たな時代小説として確立しつつあると感じました!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ぜひ手に取って読んでください、あなたの知的好奇心を必ず満たしてくれる作品です!
したっけね!
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