こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。
今回は、スタジオジブリの短編映画「海がきこえる」を久しぶりに見た感想を書いていきます。
簡単なあらすじ
東京の大学に進学した杜崎拓は、吉祥寺駅の反対側ホームにある人影を見た。
中央線下り列車に姿を消したその人影は確かに武藤里伽子に見えた。
だが、里伽子は高知の大学へ行ったのではなかったのか。
高知へと向かう飛行機の中で、拓の思いは自然と里伽子と出会ったあの2年前の夏の日へと戻っていた。里伽子は勉強もスポーツも万能の美人。
その里伽子に、親友の松野が惹かれていることを知った拓の心境は複雑だった。
拓にとって里伽子は親友の片思いの相手という、ただそれだけの存在だった。
それだけで終わるはずだった。
高校3年のハワイの修学旅行までは・・・。
高知県を舞台にした青春小説となっていて、飾らない等身大の高校生を描かれている作品です。
だからといって質が低いわけでは無いです。
72分の短編映画となっているので気楽に見れると思うので是非。
ジブリっぽくない
「海がきこえる」はジブリであってジブリっぽくない。
氷室冴子先生原作の作品で、監督・脚本は宮崎駿ではなく製作陣もスタジオジブリ若手製作陣とジブリの精鋭メンバーではありません。
スタジオジブリと言えば、
”宮崎駿が作る冒険ファンタジー”
のイメージが強いと思います。
風の谷のナウシカや天空の城ラピュタ、もののけ姫といったように宮崎駿が考える独特の世界観から生まれてくる作品が人気となっている。
宮崎駿以外でも、火垂るの墓の監督・高畑勲さん、耳をすませばでは近藤喜文さんが監督をしていました。
全てがファンタジー作品では無いという事です。
では何が”スタジオジブリっぽくないのか”?
キャラクターの人物描写がやけにリアルだ。
宮崎駿が描く主人公たちはよくよく考えてみると結構ヤバい奴らも多かったりします。
一番現実に近い”耳をすませば”でも、天沢聖司の夢の持ち方は年齢を超えた夢の持ち方をしていると感じます。
だから雫は少し背伸びをしてでも自分の夢を見つけなくちゃならないって思って小説を書き始めています。(まあ、そこが耳をすませばのいい所なんですが!)
では、「海がきこえる」ではどうだろう?
はっきり言うと”普通”だ。
ジブリ作品というにはあまりにも”普通”過ぎる日常の作品となっている。
キャラクターに夢を持たせるとか、アニメにしかできない過剰な演出をするとか、そうゆう事は全くなく、あくまでも高校生の日常と葛藤が描かれているのである。
耳をすませばのようなキラキラの青春ではなく、誰しもが経験するような”痛みを伴う青春”が「海がきこえる」のジブリっぽくないと思う所である。
現実的で等身大の若者
「海がきこえる」の登場人物たち脚色をされていない。
全くされていないわけでは無いのだが、前出の通り”普通”の高校生だ。
東京から高知の高校へ高2に夏に転校してきた武藤 里伽子。
親の離婚で来たくも無かった高地に来てしまい、しかも美人で文武両道と地方で無くとも勝手に目立ってしまう存在。
主人公・森崎拓、中高一貫の学校で中学までは神童と呼ばれるような優秀さだったがとある事件から成績を落とし始める。
ある日、里伽子から”お金を落としたから貸して欲しい”と言われたことが妙な縁の始まりとなっている。
地方に馴染めない里伽子はクラスメートのやっかみの対象になってしまったり、森崎は里伽子に惹かれている所がありながらも、親友・松野の気持ちを立てて曖昧な態度を取ってしまったりする。
誰かの目線を気にする世代で、その群れに属さない人物を排除しようとする。
ストレートな好き嫌いではなく、他人との関係性を考えてしまい躊躇する。
自分の考えが言語化できずにいる。
そんな曖昧な感情が渦巻く、青春時代を忖度することなくストレートに描かれている。
ファンタジーじゃないジブリは必要か?
とても良い作品だ。
しかし疑問も残る。
この作品をジブリで作る必要があるのか?
残念ながら、”スタジオジブリ”の作品がみたいと思っている人に刺さる作品では無いだろう。
ジブリを見ている人が見たいのは、
”宮崎駿のファンタジー”
を見たい!という人が大多数だろうから、そう考えるとリアル路線はやっぱり厳しい。
しかし宮崎駿が永遠の存在では無い事は分かっているはず。
偉大なファンタジー作家・宮崎駿の作品は、現在の人では作れないのですよ。。
やはり昔の手書き作画が最高!
「海がきこえる」の何が良かったって、手書きのジブリが見れた事!って言うのもあります。
デジタルのアニメが主流となっている昨今で、完全手書きであろう「海がきこえる」はノスタルジーを彷彿させる作りになっています。
かつての勢いがなくなってしまったスタジオジブリ。
デジタルや3Dに挑戦するのではディズニーには勝てない!
むしろ、「風の谷のナウシカ」~「もののけ姫」くらいまでのアニメを突き詰めて作ってくれた方が良い物が作れるのではないだろうか。
とにかく、「海がきこえる」はジブリっぽさは無くても手書きジブリの映像を味わえる良い作品だった。
ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
したっけね!
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