「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ」1巻感想 悪魔の実験に呼吸を忘れるほどの緊張感 

漫画 

こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。

今回は、藤田和日郎作「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ」を読んだ感想です。

待望の黒博物館シリーズの発売です!

藤田先生、最近まで長編モダンホラー漫画「双亡亭壊すべし」を書いていたのによくもまあこんなゴシックホラーが思いつくものです。

黒博物館シリーズは”面白い”と言えるのですが、今回はホラー要素も強いです。

感想は一言

”息をするのも忘れるほど面白い”

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「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ」~作品詳細

作者:藤田和日郎

出版社:講談社

ジャンル:ゴシックホラー

発行巻数:既刊1巻(2022年7月現在)

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「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ」~あらすじ

ガス燈が霧ににじむヴィクトリア朝のロンドン。

ロンドン警視庁〈スコットランド・ヤード〉の犯罪資料室「黒博物館」を、歴史的ホラーヒーローの「生みの親」が訪れる。

彼女が閲覧を希望したのは、赤いブーツ…2年前、女王主催の舞踏会で起きた怪事件の遺留品だった。

そして女は、一人のおぞましく、あまりにも奇妙な女剣士の思い出を語りだす。

黒博物館シリーズとは

1800年代を舞台に、ロンドン警視庁〈スコットランド・ヤード〉の犯罪資料室「黒博物館」にて保管されている犯罪の証拠品を貯蔵されている博物館。
その証拠品と関わりのある人物が博物館を管理する学芸員に思い出語りしていく作品。

映画「タイタニック」のように、年老いたローズがタイタニック号に起きた出来事を話していくようなスタイルとなっている。

事件当事者の語り、そして事件に深く興味を持つ聴衆(読者目線)がいるというのは作品への没入感を1段も2段も上げていく優れた手法だと思う。

例えば、ローズがブルー・ダイヤモンド”碧洋のハート”を身に着けてジャックに絵のモデルになったと回想された後、現代へともどり100歳を超える年齢となったローズがブルー・ダイヤモンド”碧洋のハート”を取り出す。
それを周囲の人物たちは固唾を飲んで見つめているシーンがある。

そのシーンを見た時に映画を見ている観衆も、同じように固唾を飲んで食い入るようにダイヤモンドを見たのではないだろう。

黒博物館シリーズはそうした”事件”の証拠品を元に物語が展開していく。

1作目は”切り裂きジャック”を題材に残された証拠品に”バネ”、2作目は”ナイチン・ゲール”を題材に残された”かち合った銃弾”。

どちらの題材においても本来あった出来事とは関係ない、そうあくまでも作者の創造なのだから。

今回も”赤いブーツ”を題材にしたホラー作品となっている。

※以降、ネタバレ注意!

あの化物が蘇える

今回ももちろん、1800年代のイギリスを舞台にした話。
博物館に現れたのは黒い髪の女性。

女性の名は”メアリー・シェリー”、察しの方もいると思うがかの有名なホラー小説の作者、その作品こそ”あらすじ”からは読み取れなかった本作の題材である。

あらすじの時点から題材に関してはほぼノーヒントで紹介されていることから編集者も題材を知らずに手に取って読んでほしいという現れでしょう。

現にそう思う。

黒博物館シリーズの大ファンである自分に取って、題材に関しては秘匿事項
あらすじも読まず試し読みも見ず、購入して本の1ページを開く事すら楽しみに読み始めました。

この度の題材は冒頭のカラーページであっさりと出てくる。
なので実際は隠す必要は無い。
だがしかし、本作を呼んで知るのがしかるべき筋なんだと思う。

ホラー作品の正体を先に知るほど面白くないものは無いのだから。

19世紀のイギリス男女社会

19世紀のイギリスの問題として、男性と女性の立場を厳密に分けられていた事があげられます。
男性は公的(社会的)領域をつまり自由の領域、女性には私的(家庭内)領域・支配される領域として明確に区別されていたようです。

本作品でも女性はメイドとして調理場・ハウスキーパーとして低賃金で働かされており、男は使用人でも外で自由に仕事をしている様子が描かれています。

そして男性的仕事である小説家という仕事を生業にしている主人公メアリー・シェリーも事あるごとに蔑みの言葉を浴びせかけられます。

「男の仕事を取った~~」

さらに「女性は子供を産むしか能力がない」事から、「動物でも同じ事ができる」。
家畜と同等の価値しかないという扱いです。

作品を読むときに必ずここにひっかかる人はいるはずです。
男性のじぶんですら1mmも共感できることはありません!

けど安心してください。

主人公は、はっきりと女性の権利を主張しています。

個人として男性並みに収入を得ている彼女の自信、そして若干の無鉄砲さからくるものですがその頃優位にたっている立場の男性にも物怖じせずに言い切ります。

ゴシックホラーと”恐怖”が描かれる作品ではあるが、もう一方の目線からは”女性の権利”を叫ぶ作品ともなっています。

権利を掴もうとする姿勢に”恐怖”のみでは無い、”共感”という爽快感が生まれてくる作品となっています!!

最後に

「黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ」の感想は本作品が完結してから書きます。

小出しにネタバレを書いても読んでいない方にもったいないですから。

最後までお読みいただきありがとうございました。
したっけね!

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