こんにちわ、漫画と歴史好き。
いのまんです。
今回は鯨庭先生の「言葉の獣」1巻を読んだ感想を書いていきます。
正直ですね、、、凄い!凄い漫画を発見したと思いました!
一言でいうと言葉のファンタジー漫画!
今まで見たことが無く、何気に通り過ぎて疑問にも感じていなかった言葉の具現化のような作品なんですよ。
一巻を読み終えた時に言葉を失い、妻に読んでみてとお願いしてしまいました。
「言葉の獣」~作品詳細
作者:鯨庭
出版社:リイド社
ジャンル:ファンタジー
発行巻数:既刊1巻(2022年5月現在)
「言葉の獣」~あらすじ
言葉を<獣>の姿で見ることができる共感覚の持ち主・東雲と、詩に強い関心を持つクラスメイト・やっけん。
二人はふとしたきっかけから、東雲の持つ”ある目的”の為に協力し合うことに。
東雲が<生息地>と呼ぶ場所に獣たちは棲んでいるらしい。
言葉の扱われ方によって変化するその場所で、二人は様々な<獣>に出会っていく…。
言葉とは何か、詩とは何か。
「言葉の獣」~感想
始めの3ページを試し読みをして好きなタイプの作品だと思い購入しました。
冒頭でも書きましたが、衝撃でした。
今まで”言葉”とは自然に使う物でした。
作中で
「人は気持ちをより理解するために言葉を使う」
「けど、無意識のうちに刷り込まれた言葉に意味を押し込めているだけにすぎない」
言葉って曖昧なんですよね。
投げかけた言葉は受け手によって解釈が変わってしまったり、そもそも同じ言葉の意味でも変わってしまう事があります。
その曖昧な”言葉”を、目に見える形で表現したのが本作品で
「言葉で示そうとした気持ちそのものがわかる」
のが、”言葉の生息地”に行けて”言葉の獣”が見えるのが東雲という少女でした。
言葉が獣の姿として見える
今まで何気なく通り過ぎていた”言葉”というモノが、東雲という登場人物には動物のように見えるようです。
”言葉”を動物に具現化する、それも同じ言葉でも意味や捉え方が変わればその動物も形が変化します。
女子高生の東雲は小さい頃から、”言葉の生息地”という場所に行けて、動物のような形に具現化することのできます。
詩が好きで詩を書くことを馬鹿にする風潮が消えないと嘆いていた薬研を、”言葉の生息地”連れて行きました。
この”言葉の生息地”という謎の空間に関しては一巻では解明されておらず、東雲しか入り込めない空間となっています。
自分はこの漫画をファンタジーの一種として現在は捕らえていますが、今後”生息地”という空間が解明された時にどんな印象を持つのかが楽しみとなっています。
例えば「頑張れ」という言葉の獣は、はじめ「熊」のような生き物でした。
頑張れと言った相手を観察することが目的の為、首が長めだが走るのは苦手で励ましや慰めとして抱きしめてくれる。
しかし、対象者に対して追いかけることは苦手。
そして”頑張れ”はもう一体登場します。
もう一体は「兎」のような容姿をしています。
対象者を見守るという点は先述の「熊」と変わりませんが、側に来てくれる「熊」とは違いある一定上の距離を保っています。
「頑張れ」=「助けられない」
答の見えない質問に対して曖昧に”頑張れ”と言ったり言われたりすると思いますが、それが「兎」の保っている助けられないという距離なんですね。
他にも
誹謗中傷の言葉の獣
詩の言葉の獣
生きるの言葉の獣
天然の詩の獣
と様々に形を変えて言葉の獣は登場します。
東雲の目的は一番美しい獣に会う事のようです。
「美しい」とは、心が震えることで心で見て心が高揚してふるえる、それが美しいという事。
同感です。
目で見える者だけで解釈するのではなく、例えば新生児を抱く母親の姿のように全体像を通して「美しい」と感じる事なのかなと。
鯨庭先生の「美しい」の言葉の獣が非常に楽しみです!
楽しみつつも実は怖い
ここからは本編の内容から感じた感想です。
主人公である薬研が、物語開始時に詩の授業にて
「解釈が浅いのは許せる」
「何も考えてないは失礼」
「みんな不誠実だ、詩を書いた人に対して」
ちょっとドキッとしましたよ。
自分もこうして文章を書いている身ですが、全てを理解できて書いているわけではないんですよ。
本作を読んだ方から、「お前は何もわかっちゃいない!」って言われるんじゃないかと不安になったりもするんっですよね。
「でも何かを伝えたいなら臆せず描かなければならない」
薬研が詩を書く理由を説いたセリフですが、本当にこれです。
なんとか自分が好きだと思った作品の事を伝えられるように書いているんですよ。
また”言葉の獣”=人の気持ちを理解する方法は「ひたすら考える」
人と人はわかり合えるとは言いますが、案外に人は会話している相手の真意など考えずに聞いて自分の気持ちだけを伝えようとするものです。
そして、話せる人がコミュニケーションが上手いと思っていて思われているという事実もあります。
相手の言葉を理解するという事が「いちばん難しい事」だと言うのを理解して会話するようにしたいと考えさせられる作品でした。
最後に
「薬件、何これポエム?」
「そんなん読んでんの?」
「中二病かよ!」
人が好きなものを頭から否定する。
自分も高校の頃、吉川三国志を読み、松本清張を読み、五木寛之を読んでいた事で馬鹿にされていた事がありました。
着せ恋の五条君もですが、好きなものを否定されるのはとてもつらい事です。
ぜひそんな風潮は吹っ飛ばして欲しいと思える作品です!
ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
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