こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。
今回は、ヤングマガジンで18年の長期連載の末に完結した「センゴク権兵衛」27巻最終巻を読んだ感想です。
長く続いたセンゴクシリーズも等々完結を迎えてしまいました。
秀吉が亡くなってから完結となるので、徳川との関係性はあっさり描くのかと思ったら、想像以上に描かれていました。
仙石時代を知る上でとても貴重で教科書にさえなるような漫画でした。
宮下秀樹先生、長い間お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。
「センゴク権兵衛」~作品詳細
作者:宮下秀樹
出版社:講談社
ジャンル:歴史
発行巻数:既刊27巻(2022年5月現在)
「センゴク権兵衛」~27巻あらすじ
天下人、秀吉の死、天下分け目の合戦、そして戦国時代は終焉を迎える。
史上最も失敗し挽回した男は、人から人へ繋がれし縁に導かれ、時代の終焉へとたどり着いた。
激動の時代を必死に生き抜いた仙石権兵衛が最後に見る景色とはーー。
“戦国”と“仙石”を描いた一大叙事詩、ここに完結!!
「センゴク権兵衛」~26巻感想
太閤豊臣秀吉、没する
太閤・豊臣秀吉が亡くなりました。
老いてヨボヨボとなり判断力も失われた秀吉が亡くなる直前に見たのは大勢の敵武将と、後ろには軍師・竹中半兵衛の姿が。
野心に満ち溢れていた秀吉が、政局の中心となった事で”孤独”と戦う事になり、尽きぬ欲望に眼が眩むようになってしまった事を暗に否定するかのような描写に初めは見せていました。
しかし集まった武将たちは秀吉の能力を賛美するために集まり賞賛の声を投げかけて、次々に吉川・柴田・明智・信長と流れていく様子は、このマンガの主人公は仙石権兵衛であり豊臣秀吉だったんだなと思わされる壮大な最後でした。
秀吉の晩年は派手で欲にまみれた汚い人物のイメージですが、日本で初めて天下統一した人物が上記のような一面だけを持ち合わせていたわけではないと思います。
センゴクシリーズの秀吉は、歳と共に変わる「自分の中の価値観」を見事に引き出した作品なんだなと改めて感じさせてもらいました。
鳥肌が立ちました。ありがとうございます。
秀吉亡き後の仙石権兵衛
仙石は与力を断った時点から秀吉を客観的に見ているようになりましたね。
親でも兄弟でも無く、友人でも無い、上司・部下ともまた違うのですが、命を削って仕えた関係は今を生きる僕らにはわからない糸で繋がっていたのでしょう。
傍にいる事は出来たと思います。
けど、それは以前通りの価値観で昔の関係性のままでいれれば問題なかったんでしょう。
仙石も数多の苦難・苦悩を乗り越えた事によって、秀吉の考えに対して”危険性”を感じ取りつつもそれを
”否定”することが出来ないと考えていたのではないかと思っています。
自分と秀吉の関係がこれ以上変化させないために、距離を置くことを選んだんでしょうね。
秀吉にできなかった事を、徳川秀忠にしてあげたのかなって思います。
秀吉も苦しんだ「孤独なる懊悩との対峙」、この部分に解決策を提示される必要は無いんです。
「為政者の苦悩を知るモノが必要」
現代でも”相談者”が相談の解決方法を直接知りたいと思う事は少ないですよね。
話を聞いてくれるだけで安心するという、そんな役目を仙石はになったという事ですね。
かつて猪武者と称された仙石権兵衛秀久ですが、数多く失敗したことによって得られたこと
- 正直である事
- 恩を忘れない事
- 平常心の賭は必ず勝つ
家臣団に言った「生き残る為の三か条」と言っていますが、自分自身も同じような考え方をしたいと思っています。
駆け引きができる人間ならばもっと器用な生き方ができるだろうが、戦国時代ではそうゆう人物こそ早死にしている。
それならば偽る事なく素直に、そして恩義に対して忠実な人物であるようにする事が世間を生き抜く元となるんですね。
”運”と”縁”、仙石権兵衛秀久がたどり着いた世の中生きる上で大事なことの答えを一つ提示してもらえたなって思える最後でした。
「センゴクシリーズ」感想
自分の青春時代にセンゴクシリーズがあった事は歴史好きとして大変勉強になり喜ばしい事でした。
大学の頃に隣に座っていた方が読んでいた”センゴク”を読ませてもらい、そのまま友人となり卒業してからも北海道・岐阜と離れた土地でも結婚式に呼び呼ばれするような関係性を築かせてもらうきっかけとなった作品です。
英雄譚、群像劇、戦記物、政治劇と戦国時代の大名が織り成すドラマを様々な資料を用いて解釈を加えて漫画に落とし込んでいく事は、週刊連載でとても大変な出来事だったと思います。
歴史が好きで、様々な小説や漫画に触れては作者一人一人で違う一面を見せる歴史や人物。
自分が思い描いた人物とは違って、
「これは違う!!」
と断定してしまう事もたくさんありましたが柔和な考えで考えて視点を変えて考えれば、新しい歴史の解釈になるんだと感じて読ませてもらいました。
あとがきで歴史学者や社長職につくような方が最終的にいう言葉、
「わからない」
考えに考えた末に出る言葉として「わからない」。
結末は「決まっている」けど、人間が関わってきた中で過程は「わからない」、どんな可能性があるかわからないという事に感銘を受けました。
「ろくに考えもせず歴史はこうであると断定するような描き手に堕としていたら、本を閉じてしまって下さいますよう。」
宮下先生の想いを失わぬように今後もご活躍期待しております。
「センゴクシリーズ」全72巻、戦国大名の魅力を余すことなく描かれた唯一無二の作品でした!
本当にありがとうございました!
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