こんにちは、歴史と漫画好き。
いのまんです。
今回は、小説版「鬼人幻燈抄 大正編 終焉の夜」を読んだ感想・ネタバレ有りで書いていきます。
こちらは鬼人幻燈抄シリーズの2022年2月26日最新の9作目になります。
まず表紙がカッコよかった!
洋装に腰に刀を差し、抜いているシーン!
表紙にテンション上がるなんていつぶりでしょう!笑
さて物語は娘である野茉莉を失い、失意の中で明治・大正の時代をどう過ごしていたのかと思いましたが、赤瀬充知と出会った事は本当に良かったですね。
人との関わりを避ける様な事をしないで本当に良かったと思ってしまいます。
「鬼人幻燈抄 大正編 終焉の夜」~作品詳細
作者:中西モトオ
出版社:双葉社
ジャンル:和風ファンタジー
発行巻数」既刊9巻(2022年2月現在)
「鬼人幻燈抄 大正編 終焉の夜」~あらすじ
パーティーの夜、甚夜達は希美子と溜那を助け出して南雲叡善の目論見を打破した。
その後、しばらくは大きな動きもなく平穏な日々が続いていたが、叡善と配下の鬼たちは着々と反撃の準備を進めていた。
マガツメに敗れてから39年、自ら進むべき道を見出した甚夜が、大正の世で得た強さを武器に“巨悪”と闘う!
「鬼人幻燈抄 大正編 終焉の夜」~感想
赤瀬充知との関係性
野茉莉の記憶を奪われて大正編に入るまでで39年間、その内の20年以上の時を赤瀬希美子の両親・赤瀬充知・志乃と共にいて希美子の護衛をしていました。
この事がわかっただけでもホッとします。
充知との最初の出会いは偶然と好奇心です。
歳を重ねると偶然に対して好奇心が湧かなくなるし、危ない事に首を突っ込まない保身が働いてしまいます。
始めて甚夜と会った時の充知はまだ10代、本作のボス・南雲叡善との斬り合いに偶然立ち会った事(この時点で2度目)が原因で甚夜と出会います。
この時から甚夜を用心棒にして雇おうとしたりして気にかけている様子でしたが、甚夜は固辞しています。
後に赤瀬志乃との結婚をして婿養子入りする事となった充知、ここで衝撃的な出来事が起こります。
赤瀬家の本家当主が甚夜と斬り合いをしていた南雲叡善でした。
目的はわからない、しかし危険を感じて充知は甚夜を探し出して改めて使用人にと雇うこととします。
甚夜も叡善を追っていたことから利害一致の関係という事ですね。
白雪・野茉莉と大事な人を守って上げれなかった甚夜にとっては用心棒という職は気持ちの上でハードルの高い事だったのでしょうね。
利害一致関係なら、対等の立場でいられるという事。
ただ野茉莉は生きていますからね。
”甚夜の記憶”を失ったという点では守れなかったけど、命の観点から言えば守れたと言えると思います。
甚夜は自己肯定感が著しく低いです。
充知が甚夜に感じているのは自己肯定感の低さ。
志乃11歳の時から3人で行動を共にしてきて、大なり小なり怪異とも遭遇することがあったけど甚夜がいた事で事なきを得ています。
”守ることができなかった”
戒めのような想いを持った甚夜に対して充知は
「君の手は、君が思っている以上に多くのものを守ってきたんだ」
自分たちを守ってくれたことを言葉でわかるように伝わるように諭しています。
人って一度だけのネガティブな経験でも敏感に反応するし記憶にも残るけど、ポジティブな内容はすぐに忘れてしまうし消えてしまう。
積み重ねていって、やっと気が付くものですよね。
何歳も年下の充知に教えられています。
今迄の甚夜の行動が、登場人物に肯定されるってまるで自分の事のように喜びを感じてしまいました。
そして充知と志乃の間に生まれたのが希実子。
叡善の本当の目的となる子。
改めて充知は甚夜にお願いします。
「南雲叡善を倒すまで、希実子を守ってほしい」
目的や時期を不明確にするのではなく、はっきりとした目的を伝えることで甚夜の力を引き出そうとしているという事です。
甚夜には”人を守る力がある”という事、今迄の人生を肯定してくれた出来事で胸が熱くなりました!
願いから成る異能の力
明治の世で甚夜は”鬼喰らい”という異名が付くほどに鬼を喰らい力をつけようとしていたみたいです。
上位の鬼が持つ異能の力、これは”願いから生まれる力”。
怪異である鬼の方が”願い”を具現化でできるなんて何とも皮肉な話ですよね。
甚夜が持つ異能は<同化>ですが、この能力によって他の鬼の異能を取り込むことが出来る能力です。
整理したことが無いので何個あるかはちょっと覚えていないのですが、取り込んだ能力を一度に使用できるのは一つだけ、同時使用できないという制約があります。
けど〈同化〉の能力は甚夜の能力ではありません。
この39年間で甚夜は自分の異能を身に着けています。
それが〈合一〉
自分の持っている能力を一度に2度使える能力です。
能力発祥の願いは
「みんなとずっと一緒にいたかった」
100年以上の時を経て、色んな人と出会い分かれてきた甚夜らしい願いと異能のちからですね。
甚夜、女々しいよ。女々しい。
けど、そんな弱さを併せ持ちながら力を求めるアンバランスさがとても魅力的です。
読者としても思います。
”みんなとずっと一緒にいて欲しかった”
永遠の命
夜刀守兼臣の本来の持ち主・南雲叡善との戦いが終わりました。
ストーリーの主線はこの部分なんですが、どうしても甚夜が過ごす人々との出会いとそこから生じる時の流れが感動的で、戦闘シーンがおまけのように感じています笑
永遠の命を求める爺。
Fateの間桐臓硯を思い出しますね。
良い悪いとかではなく、永遠の命を求める爺って似通ったりするもんなんですね。
最後に
蠱毒の籠の器となる人造の鬼神・溜那は甚夜達と共に過ごすにつれて
「優しくされるのにさみしくなる。怖くなかったものが今は怖い。私は壊れてしまった?」
言ってました。
今迄人と関りを持たずにいて初めて他人と関係を気付いていくうちに、陽と陰両方の感情に戸惑いを感じていく心理描写が素敵ですね。
甚夜はいつの時代も父親のような役割をしています。
南雲叡善を倒しても大正編はまだ終わらなそうです。
野茉莉は出てくるのかな?
出てきて甚夜と再会したら泣いてしまいそうです。
ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
したっけね!
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