小説版「鬼人幻燈抄 幕末編 天邪鬼の理」4作目感想~子が親よりも長生きしてほしいのは当たり前だが…

小説

こんにちは、歴史と漫画好き。
いのまんです。

今回は、小説版「鬼人幻燈抄 幕末編 天邪鬼の理」を読んだ感想を書いていきます。

こちらは鬼人幻燈抄シリーズの4作目にあたります。

「天邪鬼の理」ではいずれ起こるだろうと思っていた出来事が起こってしまいました。

鬼と人は一緒にいられるけど、一緒の時間を過ごすことはできないのですね。

かなり重大なネタバレが含まれていますので、もし読んでいない方は作品読了後によろしければ再来訪してください!

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「鬼人幻燈抄 幕末編 天邪鬼の理」~作品詳細

作者:中西モトオ

出版社:双葉社

ジャンル:和風ファンタジー

発行巻数」既刊8巻(2021年10月現在)

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「鬼人幻燈抄 幕末編 天邪鬼の理」~あらすじ

文久二年(1862年)。酒を巡る騒動から6年、江戸は仄暗い不安に揺れていた。

討幕の動きが日に日に強まるなか、甚夜は妖刀を巡る事件をきっかけに、幕府に忠義を捧げる会津藩士・畠山泰秀と出会う。

泰秀は幕府存続という目的のため、鬼を使役する武士だった……。

武士と鬼――滅びゆく者たちの美学を描く幕末の物語。

「鬼人幻燈抄 幕末編 天邪鬼の理」~感想

1862年時は幕末に。

今回は、人の時間と鬼の時間がテーマでした。

鬼の寿命は千年以上であるという事は1巻から言われてきて、甚夜が目的の一つである170年の時まで作品は描かれる事から、人の生と鬼の生の時間感覚の差は必ず描かれてくるだろうと思っていました。

いづれ来るとはわかっていても、悲しい事は悲しいものですね。

甚夜の行きつけの蕎麦屋・嘉兵衛、主人である三浦定直はおふうという鬼を「幸福の庭」という別次元から救いだして親子関係となります。

しかし「幸福の庭」から連れ出したときには定直は実際の時より20歳以上の時を刻んでしまい、実年齢以上に年老いてしまいました。

老衰によって徐々に体力は衰えて、蕎麦屋も開ける事も難しくなっています。

寝たきりの時間が多くなった中で、ある日4人分のそばを打って卓を囲みます。

定直はおふうを1人残す事が心配で甚夜と夫婦になってくれる事を本当に望んでいます。

しかし甚夜にとっては、普通の人間としての幸福を手に入れるというような普通の考え方は出来なくなっていました。
ですが、そんな生き方も少し重たく感じているとも甚夜は語っています。

そんな考えは捨ててしまえと定直は言いますが、甚夜にも捨てれないものがあります。

白雪を守れず鈴音を本物の鬼にしてしまった事、憎しみと愛情が入り混じる中で甚夜は未だに苦しんでいると言えるでしょう。

しかしそんな甚夜を見て店主は喜んでます。 
甚夜が自分の幸福を受け入れられない生き方を重く感じてしまったのは、嘉兵衛で過ごした日々にそれだけ価値があったという事です!

「もし過去を振り返って泣きたくなったら、それを誇れ。その悲しみは悲しみに足るだけの価値を築きあげてきた証。」

「けど別れを恐れて今をないがしろにしないでほしい。」

「長い時でも大切に生きてほしい。。」

この中で定直が一番実年齢若いはずなんですけどね。
見た目と精神は比例するのかもしれませんね。

三浦定直はおふうという娘を想いながら幸せそうに亡くなっています。

一人残されたおふうは今後どんな生活をするのかが気になるところですね。

甚夜の告白

友人であり人間である三浦直次に甚夜は正体が鬼だとバレてしまいます。

直次は京へ上がろうとする所を、佐幕派で鬼を部下に持つ畠山泰秀が部下を使って襲撃されると鬼から直次を守る為に甚夜もまた鬼の姿を晒します。

直次はその姿を見た事と「逃げろ」と言われた事から、戦いの場から逃げ出します。

ずっと正体を隠して友人関係を続けていた甚夜、衆人たちの目にも止まり大勢の人に正体がバレてしまう結果となります。

甚夜は古寺へと身を隠していたところでおふうが現れ、甚夜の目的を問いかけます。

「妹を止めるため?」
「復讐のため?」

管理人はずっとそうだと思っていました。
白雪の敵討ちに、凶行に及んだ妹を止めるための復讐劇だと思っていました。

けど、よく考えると甚夜の行動は矛盾していたんですよね。
170年後に鬼神となって現れると言ってましたが探すことはできるはずです。

現に”ゆきのなごり”で鈴音の痕跡を探すことが出来ているので。

一向に妹を探す事はしないのは心の中で妹を大切にする気持ちと憎しみが相反しているからなのかと思います。

甚夜が本当に憎んでいたのは白雪を守れなかった自分自身。

おふうはそんな甚夜の事を想いこう答えます。

「正しい事を正しく行う事が最良では無い」

正しい選択とは、道徳のような正しさです。
人を守る、鈴音を止めるという正義に固執せずに自分が正しいと思う事を貫く。
正しい事ばかりでは生きていけない、だから必要悪という言葉もあったりします。

直次もまた話を聞いており、甚夜に対して鬼ではあったが化け物では無かったとして逃げた事を謝罪しています。

種族は違っても友人であり続けたい事を告げたいと言っています。

最後に

甚夜に娘ができました。鬼が遺した人の子を引き取っています。

それならば、おふうと夫婦になってくれればいいのにって思ってしまうのは安直ですかね笑

今回は人と鬼の種族の違いが描かれていましたが、互いに変わらない部分もあるという事でした。

人間の子供を引き取ったという事は、似たような事がまた起きるんだと思うと今から切ない気持ちでいっぱいになってしまいまね。。

次回は江戸から京都へと舞台を移します。

ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
したっけね!

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