こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。
今回は、春アニメの原作「ましろのおと」28巻を読んだ感想を書いていきます。
「ましろのおと」~作品詳細
作者:羅川真理茂
出版社:講談社
ジャンル:仕事・青春・音楽
発行巻数:既刊28巻(2021年7月現在)
前巻のあらすじ
STC歓迎会での出来事で心穏やかでは無かった田沼舞はライブでマイクを倒してしまう失敗を犯してしまう舞。
ライブ後に舞の自宅へ行き、神木流絃に稽古をつけてもらったその後に流絃からは娘の失敗について謝罪をする。
舞が心を乱した原因には、自分の息子である雪に神木流絃の名前を継がせると勘違いさせたせいである事だと伝えて、雪と舞の二人で話をすることに。
源造は、雪に”春暁”を演奏するように言い、雪は源造の前で演奏する。
その演奏は誰が聞いても感心する演奏だった。
今まで、父である田沼源造を毛嫌いしていたが、徐々に嫌悪感は無くなっていた。
雪は満を持してSTCライブで”春暁”を演奏させてほしいとメンバーに伝えます。
そんな折に、雪が作曲した”荒天の調べ”をテーマに映画製作中だったアリョーショ・ヤンコビッチが日本へやってきた。
要件は、映画製作を進めていくうちに”荒天の調べ”の曲のテーマと映画のテーマがマッチしなくなったことに対する報告だった。
その事に対して落ち込みを隠せない金城だが、雪はヤンコビッチに曲が使用できなかった理由を聞いて、掴みかけている”春暁”をライブで聞いてほしいと告げるのだった。
雪一人の演奏ではなくSTC全員で演奏する”春暁”が披露されようとしている。
雪は”春暁”に一つの解を出した
STCの曲”荒天の調べ”を使ってショートムービーを作成中のアレクセイ監督が、制作に行き詰り日本に来日して来ています。
映画監督としてずっとスランプに陥っていたアレクセイ監督が来日したタイミングで雪はSTCメンバーと”春暁”を演奏したいと言います。
雪が即興曲”春暁”を演奏したのは4回、初めは高校の同級生・前田朱里の祖母の前で削りに削った”春暁”、次は時を経て若菜が大河ドラマ用に収録したときに人前での演奏をためらっていた事に対して雪がライブで演奏、そして父・田沼源造の前での演奏、そして今回北日本ツアーの集大成として、またアレクセイ・ヤンコビッチ監督の前での演奏。
「ましろのおと」28巻刊行の中で立った4度しか演奏されない”春暁”という事にこの曲の特別感が伝わります。
1度目に朱利の祖母の前で演奏した”春暁”は、技術的にも曲の解釈的にも弾けない未熟な”春暁”だったと言えるでしょう。
ただ、若菜と共に演奏した春暁と父・田沼源造の前で演奏した”春暁”に関しては一つの解を得た演奏だったと思います。
芸術に関する事ってある程度真似る事はできると思います、自分も吹奏楽経験者なので些細ながらもわかります。
しかし、真似以上に昇華させる演奏ってその曲や絵・映像を勉強して理解してさらに深く理解してからでないとオリジナルを超える事や人に見せられるものってできないですよね。
そこまでやっても全ての人に納得してもらう事はできないです。
よく映画のリメイク作品に賛否両論が出るのは、人それぞれの解釈があるからこそですからね。
雪の以前の”春暁”への考え方は祖父・松悟郎のように弾く事が曲のイメージだったと思われます。
しかし自分の音を否定されて受け入れてもらった経験から、雪の”春暁”のイメージは新たな音を求めていて、自分が弾きたいイメージの”春暁”を弾きたいと思っていました。
この自分で弾きたいイメージって言葉では簡単に言えますが、それを体現する事ってとても難しいことですよね。
いくらイメージしても、手や指がイメージ通りに動かないってことは誰しもが経験している事だと思います。
そしてイメージして今弾けるという感覚・感性を抜群のタイミングで引き出せる事が、雪の優れているところなんです。
父・田沼源造の前で弾いた”春暁”の感覚をSTCのメンバーと共有したいとという願いが”春暁”という作中でもカギとなる曲に一つの答えを出して演奏した。
今回演奏した”春暁”は完成ではないです、答えのない道を探りながら得たこれからも続く長い道のりの一つの答えのような演奏だったのでしょう!
長い間スランプに陥っていたアレクセイ監督に響くのは必然なのかなって思わされる内容です!
母である梅子と兄である若菜
今回演奏した”春暁”をアレクセイ監督の作る映画の劇中歌で使用したいという許可を、曲の権利を持っている母・梅子に取りにいく雪と金城さん達。
金城・妻と梅子は何度か言い争いになるほどに相性が悪いので、曲の使用許可を得るのにひと悶着ありそうですが。
梅子はあっさりと曲の使用を承諾します。
それもひとえにSTCが演奏した”春暁”が納得できる演奏であり、雪の成長がうかがえる演奏だったことが承諾の理由となります。
今までの梅子の言動からすると拍子抜けのように感じますが、実はその言動にも一貫したものがあります。
雪の成長
梅子は母として雪を演奏者として成長させたいという想いがありました。
もちろん、自分のそばに置いて自分の目の届くところで成長してもらうのが一番の願いだったでしょうが、「糸の切れた凧」と称される雪の行動は制御できませんでしたから笑
そばに置けない代わりに若菜をメディア露出させて、雪の闘争心を煽る役割を担ってもらおうとしていますが・・・
そんなことをせずとも雪は自分で外の世界に飛び出して、自分でその時々に必要なメンタリティーを得て、自分なりの答えにたどり着いたでしょう。
それよりも、そんな雪の当て馬にされた若菜の方が今回は重症です。
「弾きたいと思う”春暁”のイメージが無い」
これは以前に若菜が言っていたことです。
元来、弟よりも兄の方が繊細で親と弟の2方向を見ていることで、良くも悪くも空気を読みがちとなってしまいます。
スポーツの世界でも活躍しているのは、兄弟のうち弟・妹の方が割合は多かったはずです。
若菜は”春暁”STCver.を聴いて現在の自分では雪と一緒に演奏する事ができないと悩むこととなり、しばらく雪との連絡を絶ち武者修行をすると決意します。
梅子は若菜を当て馬にしているように見えますが(実際そうですが…)、どちらかというと闘争心を煽らなくてはいけないのは若菜の方だと気が付き雪たちの演奏する”春暁”を聴かせることにしています。
今回は梅子の母親としての優しさと一人の人間としての寂しさをみる事ができました。
たぬきち茶屋OPEN、さっさくらちゃん!?
脳梗塞で倒れたたぬきち食堂の店長は、食堂から茶屋へとリニューアルOPENを果たします!
一か月半ぶりにツアーから帰宅した雪の元に、さくらちゃんが。。。
ぷっくりとタヌ・・・、ふくよかになったさくらちゃんが現れます!
羅川先生!
現在のヒロインであるはずのさくらちゃんがふくよかになっていますwww!
めんこいです!!
さくらちゃんは雪のライブに行き、周りの人たちの盛況さに驚嘆してしまい、雪を遠くに感じる存在となってしまっていました。
もっと有名になってここから出て行って「一人の知人」として過去の存在になってしまう事に大きな不安を感じる!
若い頃なら特にそう感じてしまいますよね。
恋心として自覚のないまま、雪との距離を感じるさくらちゃんはストレスによる過食で心の安寧を満たしているようです。
雪よ、早くどうにかしてあげて!
最後に
STCで演奏した”春暁”は各メンバーたちにも影響を与える曲となっていますね!
元々、舞は神木流を継ぐことでしたが、潮は作曲をメインに今後も活動を続けていくでしょう。
ただリーダーの梶は良くも悪くも三味線において目立つ存在ではないですが、彼の特技は他のSTCメンバーにはない唄付け。
彼の想い人、東ノ宮杯優勝者・沙上マニの専属伴奏者として直接立候補しています。
気になる関係性が少しづつ紐を結んでいき、物語も落ち着こうとしているのが感じられる「ましろのおと」
30巻前半当たりで完結を迎えそうな匂いが感じる28巻でした。
ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。したっけね!
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