「センゴク権兵衛」23巻を読んだ感想~秀吉は誰かに止めてほしいと願っている

センゴク権兵衛

こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。

今回は「センゴク権兵衛」23巻を読んだ感想です。

女好きで知られる秀吉ですが、成人まで成長した自身の嫡男は天下統一を果たした時点でもいませんでした。
(養子はたくさんいました)

秀吉53歳の時に生まれた嫡男である”鶴松”は、自分の後継者として目にいれても痛くない存在だったでしょうね。

しかし”鶴松”の身に悲劇が・・・

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「センゴク権兵衛」~作品詳細

作者:宮下秀樹

出版社:講談社

ジャンル:歴史

発行巻数:既刊23巻(2021年6月現在)

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鶴松の死

秀吉が53歳の時に誕生した嫡男・鶴松、センゴクシリーズの直近数巻でも秀吉の溺愛っぷりは今までに見た事がないほどのでれっぷりです。

それもそのはず。

人生50年と呼ばれていた時代に、53歳という当時高齢と呼ばれる年齢できた嫡男。(それ以前にも子供は出来ていたが、育たずだった)

自分の死後は鶴松が頂点に立ち、豊臣政権を引き継がせるつもりで人物の配置や後ろ盾を組んでいた秀吉ですが、

数え、3つの歳で鶴松は亡くなります。

この時の秀吉の落胆と言えば、いくら歴史上の事でも心中察しきれません。

当時は子供が幼年の時期で亡くなるのは珍しい事ではありませんでした。
なので七五三という文化があり、その年を超えた子供を祝っていたという行事がありました。

なので鶴松が亡くなった事も当時として珍しい事では無かったのですが、老い先短い秀吉の身にとってやっとできた嫡男が亡くなった事の衝撃は計り知れないものがあったのでしょう。

鶴松に向けていた情熱は、自分が治める日ノ本を発展させて自分の権威を外にも知らしめる方向に向けられてしまいます。

それによって以前から進められていた唐国(当時の中国)の支配を進める戦を始めます。

弟である羽柴小一郎秀長が亡くなって間もない時期、悲しみを吐露できる相手もいなく怨念のようなものに突き動かされているとしか思えないです。

世に言う、文禄・慶長の役の始まりですね。

半年で都を作る権威

日本から中国に責める手始めに、朝鮮半島の支配を先にやらねばなりません。

そのために前線基地として肥前名護屋、現在の佐賀県唐津市を当時荒れ地だった場所に半年で都を作るように命じています。

名護屋城の建設予定地は、波多氏の領土でフロイスが「あらゆる人手を欠いた荒れ地」と評した場所だたが、唐入りの期間は日本の政治経済の中心となったみたいです。

この土地に40名を超える武将が揃い、15万を超える兵士が集結しています。
この時の武将たちの陣後は今でもグーグルマップにて確認することが出来ました。

北海道の積丹半島くらいの土地面積のしかも海沿いに兵士のみで15万人以上、さらには都と化していたのでそこで働く人々を考えれば30万人以上の人口となっていたでしょう。

ちなみに北海道の積丹半島で一番人口の多い余市町(朝ドラ・マッサンでブームになった土地)でも人口18千人です。
ニシン漁で明治~昭和期にかけて「金のなる海」だった小樽市のピークでも約19万人です。

半年間で都を作り、そこに人々を集めさせた秀吉の権力に驚嘆してしまいました。

仙石は風呂作り

一方その頃の仙石も肥前名護屋に赴いています。

武将同士の喧嘩に巻き込まれそうになりながらも、なぜか秀吉の湯屋作りを命じられます。

この時に秀吉の側近に取り立てられていますが、秀吉の温泉好きは「太閤の湯殿館」で有名な有馬温泉の大普請の件でもうかがい知れます。

温泉好きの秀吉から風呂作りを命じられるという事や、風呂に入るときは裸同然で武器も最低限しか持たない事から安全面一つとっても気が抜けない場所である事から、それだけ信頼されているから取り立てられたと考えるのが自然ですよね。

ただ、本作での秀吉には迷いが見えます。

文禄・慶長の役は時折調べたりして自分的な考えでは、自分の言ったことに対して後に引けなくなってしまった秀吉がいたと考えています。

もし信長だったら本気で明国も落としてやろうと考えていたでしょう。

しかし、秀吉が全国統一できたのは信長の方針を間近で聞いていたからこそ日本で初めて全国統一することが成ったというわけで、秀吉個人の能力のみでは成し遂げられなかったのではないかと思っています。

本作では、朝鮮の首都・釜山を陥落した時点で後悔のような思いを抱いています。

亡き弟・小一郎秀長がいない現在、権力的にも最高潮に達している秀吉自身の本心を本当に慮ってくれる人物は少なかったのではないかと思います。

そんな中で、猪武者と呼ばれるも裏表の無い性格であったであろう仙石秀久を傍に置くのは自分の心の安寧の為だったのではないかと思いますね。

最後に

文禄・慶長の役、秀吉の最後の戦です。

以前伊東潤先生の「黒南風の海」を読んで、若干の概要を知りました。

朝鮮に行く描写は無いと思いますが、徐々に秀吉にも死の影が近づいてきますね。

ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。したっけね!

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センゴク権兵衛 23巻

センゴク権兵衛 23巻

[著]宮下英樹

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