こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。
今回は、羅川真理茂先生の「ましろのおと」9巻の感想を書いていきます。
※最後にポイントを箇条書きしています。お急ぎの方はそちらをどうぞ。
「ましろのおと」~作品詳細
作者:羅川真理茂
出版社:講談社
ジャンル:仕事・青春・音楽
前巻あらすじ
松吾郎杯個人戦は、万雷の拍手で演奏を終えた田沼総一が優勝と審査員特別賞のW受賞という形で幕を閉じた。
一方、3位に終えた雪は母・梅子・父・源造から辛辣な言葉を貰い、緒方洸輔には「気まぐれ」演奏をしてしまう癖に苦言を呈された。
松吾郎の音を求める梅子と源造、”松吾郎と”雪”の音が歪に入り混じった演奏への評価、今の自分を否定された雪は初めて悔しいという想いを抱くことになる。
自分に足りないものを埋めるため、民謡居酒屋「竹の華」を訪れる雪。
「竹の華」での修行のために愛好会を辞めることを前田朱利に伝えると、朱利は雪に対して告白をする。
学校を辞めて、愛好会を辞めて、梅子からの援助も断っての修行生活が始まろうとしている。
「ましろのおと」~9巻あらすじ
君の知らない、この国(日本)の音――。
津軽三味線甲子園「松吾郎(まつごろう)杯」で田沼総一(たぬま・そういち)に敗れ、自分の新たな感情、奏者としての“欲”を知った雪は、高校を辞める決意を固める。
そして門を叩いたのは民謡居酒屋「竹の華」。
三味線一本でまだ見ぬ場へと飛び込んだ雪を待ち受けるものとは!?
新たな舞台、新たな仲間、新たな三味線の世界がもたらすものは!?
民謡居酒屋での修行開始
民謡居酒屋のシステムは食事やお酒を飲みながら、演奏を聞けるシステムでお店の奏者に伴奏をしてもらい様々な民謡を歌う事が可能です。
雪の仕事は三味線奏者の他にも居酒屋の従業員としての仕事もあり、奏者としてだけではなく社会経験を積む事もできる環境です。
また店で働くうえで、唄の伴奏をしなくてはいけない事から、雪が一番やらなくてはいけないことは、全国700曲(本に載っている分だけで)以上の曲を覚える事も仕事です。
この奏者+従業員としての指導係に、かなり目つきが怖い大河鉄雄が指導役に付くことになりました。
しかし、雪はこの唄付が致命的に苦手でした。
今まで一人で曲弾きの練習を重ねていたせいか、相手の唄に合わせることができない。
プロの唄い手である、沙上麻仁さんには相手との呼吸の駆け引きをする気があるのか?
「唄い手の個性を殺さないで」とダメ出しをされます。
始まった瞬間から前途多難な雪です。
ケンカ唄「八木節」
雪、客から酒を強要されますが未成年だという事を理由に断るが、それなら変わりに楽しませろとぐしゃぐしゃにしたお金を渡されます。
大河さんが仲裁に入ると竹の華一同のケンカ唄・八木節を披露することになります。
「八木節」は三味線・笛や太鼓や鐘と様々な楽器が登場してお祭りのような曲で、この曲を知らなくても楽しめます。
志村けんさんを始めとしてグループ・ドリフターズもカバーしているので聞いてみてください。面白いです!
この曲中に雪は、麻仁を煽って魔仁は唄で返していく掛け合いをします。
お互いが意地で張り合う演奏に、店内のお客さんは最高の盛り上がりを見せました。
ちなみに絡んできた客はチップを置いて逃げてます。
雷ちゃんの目標と桜ちゃんの不安
「落語の会」で落語に音をつける作品をやるので見に来て欲しいという事で、竹の華にやってきた雷ちゃん。
わざわざお店に来た理由は、雪が忙しくて下宿先に帰れないから直接来ています。
帰ってこれない雪の様子を見て、桜ちゃんは雪がこの下宿から出ていってしまうのではないかと不安に思っていますが、「落語の会」には雪といっしょに行けることに。
雷ちゃんは父・米福の演目「月の興」、現代版ブレーメンの音楽隊に三味線1本で音を付けています。
扉を開ける時の効果音、鳥の囀りなどの動物達の鳴き声。
想像しただけでも面白そうなのが伝わってきます。
雷ちゃんの両親は離婚しており、父・米福は好きな芸をやる為に離婚したのでしょう。
帰り道、桜ちゃんは雪に部屋を出ていくのか問うと、出ていかないと答えます。
幸が不幸で不幸が幸、常に不安と安心は背中合わせです。
梅子の不安が的中した、雪は下手になった?
雪の目下の目標は田沼総一に勝つことで、そのために弘前での全国大会を目指して練習することを大河と約束をした。
ただ技術面や才能面だったら店の中でも飛びぬけていて、教えてもらう事が無いと言われている雪。
雪が竹の華で学ぶのは広い視野と心。
松吾郎杯の個人戦では、母・梅子や父・源造に振り回されて反抗するように”松吾郎の音”と”雪の音”を出してしまい音に一本の筋を通せなかったことが評価されなかった原因でした。
しかし、麻仁さんから専属の伴奏者の依頼を受けます。
麻仁さんは大河さんに一度雪を伴奏に付けることを断られているのですが、直接雪と交渉して承諾してしまいました。
唄付でスランプになっているはずの雪が民謡全国大会に出るための伴奏をするという矛盾を犯しています。
さらに悪い事に、店に梅子が来ます。
雪の様子を見て上達したか梅子が問うと、雪は思わず「した」と答えます。
雪の演奏が「わや」になると何度も言ってきた梅子に対して、強がってしまう雪ですが、本当は梅子の言う通りスランプになっています。
(わや、とはめちゃくちゃと言った感じの意味です)
それを証明しろと梅子が唄い始めるが、今まで梅子に押されないように喰らいついていた演奏を雪は喰らいつくのを辞めてしまいます。
「わや」になるって言ったべ、と唄の途中で顔を覆う梅子は、何も言わずに雪の退学届も出すように竹千代女将に言います。
いつも自信満々の梅子が本当に寂しそうにした様子に管理衝撃を受けます。
梅子は天才・松吾郎の娘として、常に松吾郎への反発心で唄ってきたと思われますが、雪は梅子に反発することを辞めてしまいます。
梅子は反骨精神のようなもので、会社経営を成功させて嫌いだった貧乏生活から脱却したという成功体験があります。
だからこそ、自分の成功体験をもとに雪にも梅子なりのレールを敷いて渡ってほしかったという、親としてのエゴが出てしまいました。
梅子は強引ですが、雪の事を思いやっているというのは間違いないと思いますね。
竹の華で「わや」になると言われたが、梅子の言う通りにドツボへてハマる雪です。
最後に
雪は技術面は十分に備わっているみたいです。
後は精神面と言いますが、この精神面を鍛えるのが中々に難しいし、完成されることがあるのかって自分が生活してても思ってしまいます。
ましてや、芸の世界で生きていくというのはどんな心が必要なのか。
雪の心の変化に要注目していきましょう!
ではでは、最後までお読みいただきありがとうございました。したっけね!
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