こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。
今回は、高野ひと深先生の「私の少年」の紹介です。
社会人のお姉さんが小学生の少年に世話を焼くことから親交を深めていくお話だが・・・
「私の少年」~作品詳細
作者:高野ひと深
発行:双葉社→講談社
ジャンル:社会・恋愛
巻数:完結9巻
「私の少年」~完結までの大まかなあらすじ・ネタバレ
出会い
東京のスポーツメーカーで働くOL・多和田聡子・30歳はある日の夜中に公園でサッカーの練習をしている早見真修・12歳を見つけます。
真修はショートボブで綺麗な顔立ちをしており一見女の子かなと思える子だが、綺麗な顔の美少年でした。
そんな真修が夜の公園で変質者と遭遇し助けたことで交流が始まりました。
元フットサル経験のある聡子は真修にサッカーの技術を教えるが、徐々にサッカー以外の交流が増えてくるうちに真修の複雑な家庭環境に気が付いて、家に泊まらせたり食事に連れて行ったりとお節介を焼いていきます。
別れ
ただ、真修との関係が父親にバレたことによって真修の父親は取引先であった聡子の会社へ抗議の連絡がきてしまう事になります。。
それにより、聡子は仙台への異動・転勤となり真修との交流は無くなってしまいました。
再開
数年後、中学生になった真修が修学旅行で仙台に来た時に聡子と偶然再会を果たして再び交流が始まります。
真修ははっきりと恋心を抱いているが、聡子は大人としての対応を続けていきますが自分の本心がわからずにいます。
そんな時期に、聡子は新たなプロジェクトのメンバーとして東京の本社に呼び戻されるのでした。
告白
再び東京で過ごすことになった聡子は、真修から本気の告白をされます。
聡子は、「大人」と「子供」であることの違いを理由に断ります。
フラれた真修だったが、聡子の妹・まゆからアドバイスを受けて聡子との向き合い方を改めて考え直すきっかけとなります。
聡子の立場
対して聡子が真修の事が気になる理由は、母親がいなく父親が忙しい事での家庭環境に関しての心配だった。
ただ、真修が中学校に上がった時には祖母が来てくれたことによって家庭環境は改善されていました。
聡子の心配は本音でもあり、真修との関係を継続する言い訳でした。
高校入学した真修と聡子は、毎週水曜日にカフェで勉強会をする程度の仲となりました。
聡子と真修の結末
真修と聡子は恋人というよりは、あくまでも距離の近い知人同士のような関係で物語は完結となります。
聡子が真修を見て思ったのは結局機能不全な家庭を自分に投影してしまったことが原因となっていました。
あらすじの部分では省きましたが、聡子は学生時代の成長過程で母親の離婚やその後の男関係でのいざこざによって母親と確執がありました。
真修の家庭環境の問題を見過ごせなかったという裏付けがここにありますね。
これはあくまでも聡子が真修に対して抱く環状の一端です。
大人になれば「本音」と「建前」があり、上記の点は建前の部分ですね。
本音はどうなんでしょう。
実際、聡子がはっきりと真修を好きだとは言いませんでした。
聡子は真修に、「真修の瞳に映る自分が一番好き、いつか海や色んなところに行こう、私を見てて」と告げています。
告白みたいなものですが、はっきりとした答えでは無いです。
二人の関係性に名前が付く事は最後までありませんでした。
「私の少年」~感想
この漫画を始めに読んだときは
「30歳女性と12歳少年なんてけしからん!」
「無しだ、無し!」
なんて言ってましたが、結局最終巻まで読んでしまいました。
真修は初めから聡子の事を女性だと認識して、聡子は曖昧な立場を貫いていました。
そうでなければ最後まで読めなかったでしょう。
この作品は、恋愛漫画ではなく人間ドラマに近い漫画だと考えています。
「気持ち悪い」という評価をしている方もいましたが、本当に最後まで読みましたか?と聞きたくなる感想です。(まあ、大した感想も書いていない記事だったけど)
これが男女逆転していたとしても、この描き方なら読み進められると思います。
肉体的関係が出たら絶対読みませんでした。
さてさて、本題の感想です。
真修が中学生に上がるまではちょっと受け入れられない点があったのは否めません。
ただ、中学に上がった時点からの聡子との交流に関しては目が離せない物がありました。
中学生の思春期の頃って、大人だと思っていてもやっぱり子供です。
ネット環境が発達して、大人の方々の考え方を取り入れやすくなった現代では特にそうでしょう。
じゃあ大人と子供の差は何かと言ったら、事象における取捨の選択だと思っています。
まあ大人でも間違えるんですけどね、知識や経験からこの事柄は踏み込んではいけないだろうってわかったりするんですよね。
ただし逆に言えば、自分が経験しなかったことや知識のない事柄にはそれ以上に踏み込まない興味を示さないといったように視野が狭くなりがちなのが大人の悪い所です。
聡子は真修の父親の許可を取らずに真修を連れまわしていたことが問題とされましたが、早めに父親と話していれば違いました。
真修と出会った当時は、まだ小学生だったのだからネグレグトの事を話せば展開は違っていたと思います。
それやったら根本的に違う話になりますがwww
物語の当初は、取捨の選択は大人である聡子が主体に選んでいかなくてはなりませんでした。
真修に保護者がいる以上、聡子には保護者への説明責任は絶対必要だと思います。
しかし真修が中学・高校に上がり、大人へ近づいていくと聡子が選ばなくてはいけない選択を真修も考えられるようになってきます。
この事が「私の少年」を面白いと思えた部分です。
大人同士の関係であれば、良くも悪くも成熟した精神の元で物語が集結しますが、真修の成長が物語のカギを握り続けている作品です。
そして、真修が成長した精神が聡子の精神的トラウマだった点に触れたんだなって事がわかります。
オネショタで片づけて良い作品では無いです。
最後に
何度か言ってますが、始めはめっちゃ敬遠してました。
しかし、これが男が年上・女が年下なら違和感なく読んでしまうんだと思います。
僕が男だから!
「娘の友達」が読めたのは男が年上だったから読めただけでしょう。
気持ち悪いって言ってる人たちはきっとそうゆう事だと思います。みんな、アイドルとか大好きですから。
ジャニーズにハマっている女性を見て嫌悪感を抱く男性にはわからない作品です。
終盤にかけてはしっかり人間ドラマが描かれていますよ!したっけね!
コメント
つい先ほど、数年ごしにこの作品に出会い、読了しました。
学生時代にはこの作品の良さが分かりませんでしたが、社会人になってこの作品の良さが分かりました。
誰しも(?)が持つけど露わにはしない、子供の頃の家庭での空白、そしてその穴を埋めようとする作業であったり、大人こそが持っている歪さを描いている作品だと思いました。
真修と同級生の女の子を安易にくっつけたりしないのも、個人的にはポイントが高かったです。相手のことが人間として好きなのか、異性として好きなのか、そうした言葉の対比があって、色んな角度からも趣深い作品でした。