こんにちわ、歴史と漫画好き。
いのまんです。
今回は、雨瀬シオリ先生の「結ばる焼け跡」を読んだ感想を書いていきたいと思います。
雨瀬シオリ先生といえば、現在「ここは今から倫理です」が実写ドラマ化されるほどに人気でいのまんもお気に入りの漫画ですが、そんな奇才・雨瀬先生が太平洋戦争直後の日本のお話を描いてます。
終戦後の鬱屈とした空気感と雨瀬先生の絵柄がマッチしていて鳥肌もんの一作とです!
「結ばる焼け跡」~作品詳細
作者:雨瀬シオリ
出版社:日本文芸社
ジャンル:歴史
発行巻数:既刊2巻(2021年2月現在)
あらすじ
終戦間もない昭和20年東京・上野では、食べる物にも住む場所にも困る人々で溢れていた。
元軍人の子で家族を全員亡くしてしまった兼吉は、自分たちの家があった焼け跡をヤクザが勝手に家を建てて商売を始めていた。
そんなヤクザたちの行いに憤慨している兼吉だが子供の身では何もできないと嘆いていたが、元軍人で謎の青年である金井田と出会った事で閉ざしていた心を開いていく。
戦災孤児となったあの名作と通じる
主人公の少年・兼吉は、親が元軍人で東京の上野に土地と家を持っていたことからおそらく戦前戦時中は比較的裕福な家庭であって、しっかりとした軍人の子供としての教育を受けていたのかなって想像できます。
自分の家の焼け跡にヤクザが勝手にバラック小屋を建てて商売を始めます。
(バラックとは、震災などで建物が失われたときに建つ仮住居の事)
父親と3人の男兄弟は、いずれも戦争で尊い命を落としています。
そんな偉大な父と兄たちを誇りに思いながら、戦争が終わっても子供ながらに家を守らなければならないという気持ちの強さが、ヤクザたちに向かってゲリラ的に襲い掛かるといった破滅的で暴力的な行動に出てしまいます。
そんな兼吉の事を大人たちはヤクザとトラブルを起こすやっかいな子供、くらいにしか見ないわけなんですよね。
戦争終了直後、人々にはまだ余裕などあるはずが無く虫が入ったシチューでも当たり前のように暗いながら日々を過ごしていた時代に、兼吉が受けた事に対して同情の気持ちも持てなくなります。
もし、これが現代社会なら違うでしょう。
自然災害で親も家も無くした子供たちがいれば、社会が必ず手を差し伸べてくれるのが現代ですが、この頃は違う。
政治機関はマヒしていて、食料供給もままならないずに雨風をしのぐ場所にも困るような状態では戦災孤児に気をかけるのも無理な話ですね。
こんな社会の日本には倫理も道徳ありませんね。
中野陸軍学校出身・金井戸
そしてもう一人の主人公が、メガネでぼさぼさの髪。
復員兵としては軍服ではないが、周りと変わらずに覇気のない男です。
しかし、この男の正体は中野陸軍学校で特殊訓練を積んだ、諜報戦のプロフェッショナルを養成する特務機関・中野出身の男でした。
中野陸軍学校は現実にも存在していたようで、1937年複雑化する戦争に対応できるように発足当初はスパイ活動を主に教育する機関だったが戦争末期になると遊撃部隊としての色合いが濃くなった特殊部隊です。
ちなみにこの学校での演習科目は、
、軍事学、外国語、武術、細菌学、薬物学、法医学、実習、忍術・法医学、気象学、交通学、心理学、統計学などetretr・・・
武術に関しては、一撃の威力が高い合気道の訓練がなされていたそうです。
たしかに金井田も兼吉をヤクザから救った時に使っていたのは合気道でした。
この中の学校陸軍は極秘だった割には意外と関連書籍があって、自分は以前に松本清張先生の「日本の黒い霧」で初めて中野陸軍学校の事を知りました。
他にも柳広司先生の「ジョーカー・ゲーム」でも取り扱われていて、アニメ化もされてamazonプライムビデオで見る事が可能です。
現実にあった機関なんですが、対個人スキルがやたら高いかなりぶっ飛んだ軍人となるのが容易に想定できる為2次、創作とかも正直されやすいのではないかなと思います。
連載が続いていけば、もしかしたらGHQの特務キャノン機関を潰したなんて話も描かれるかもしれません。
ただ、そうなると本来読みたいものとは違う作品になってしまいそうですが。。
戦後の上野で住む人々
この作品のすごい所は、戦後日本についてを色眼鏡をかけずにストレートに表現している事です。
なので現在では差別的用語とされる言葉がたくさん出てきます。
そして、人間たちが汚い。
本来生きていく事がどんなに残酷で、どんなに意地汚い事なのかを包み隠さずに描いています。
作者の雨瀬先生は戦争漫画を描きたかったわけではなく、戦後の国民がどうやって生活していたのかを描きたかったとあとがきで書いていた通りにモブキャラの生活感が生々しいです。
もちろん、その時代に生きてはいなかったので現実は分かりませんが怒声やら悲鳴にビビりながらページをめくってしまいます。
また2話目では、〇ンパンとかいう言葉も出しちゃうんだって思いました。
最悪この方法でしか生きていけないというのが敗戦直後の現実なんです、京子姐さんは孤児となった子供を引き取って体を売って得たお金でその子供を育てています。
その反面米国の男性と結婚して食べる物にも着る物にも困らない生活を送る女性も登場します。
しかし、その生活は日本人には後ろ指を指されてアメリカ人には受け入れてもらえない精神的に寂しい生活となってしまいました。
どんな形で生きていくのが正解なのかわからない時代がリアルに描かれています。
最後に
「ここは今から倫理です」を書いている作者様なので、表現の振れ幅が素晴らしいです。
戦時中の漫画はありますが、終戦直後を描いた作品はとても少ないです。
それは雨瀬先生があとがきで言っていたように、終戦直後の資料が少ない事が原因なんでしょうね。
この作品もかなり心打たれる作品でした!
最後まで読んでいただきありがとうございました!したっけね!
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