今回は、羅川真理茂先生「ニューヨーク・ニューヨーク」という漫画の紹介をします。
本作は1995年~98年に連載されていた、だいぶ古い作品になります。
ゲイの男性カップルを主人公にしたヒューマンドラマで、一般的なBLではない人間生活における問題を描いている作品です。
思い出話も含めて紹介していきます。
「ニューヨーク・ニューヨーク」~作品詳細
作者:羅川真理茂
出版社:白泉社
ジャンル:サスペンス・社会
発行巻数:全4巻・文庫版2巻
あらすじ
ゲイである事をひた隠しにしてきたケインはゲイバーに行っては一夜限りの相手で楽しむ生活をしていたが、そんなある日メル・フレデリクスという金髪碧眼の男性が現れます。
フリーセックスはしないという彼に対して、ただ飲むだけだと言い部屋に誘い、本当に飲むだけで連絡先も聞かずに別れてしまいます。
翌日連絡先を聞かなかったことに後悔したケインは、メルに似た金髪男性を部屋に連れ込みましたが、メルがアパートまできて連絡先が書かれたメモを残していました。。
その後ケインがメルのアパートに行き、二人は恋人同士の関係になります。
ゲイである事を隠して生活をする難しさやそれに伴うジレンマに対して、ケインとメルはぶつかり合いながらも傷つきながらも受け入れていく。
ゲイをテーマに愛とヒューマニズム作品です。
理解を示しあう
ゲイへの偏見や弾圧、肉親への罪悪感、エイズ (HIV)、更にはゲイカップルが養子を取る事で発生する問題まで、現実に生活しているゲイの人々が直面してであろう極めて深刻な話をかなりドラマチックに描いています。
ケインがメルにする行いは、相手が何でも許してくれるという甘えによるものが大きいです。
(ケインは序盤結構誰とでも寝ます)
それを泣き寝入りしているのがメルの立場、今まで傷付いてきた経験から相手に対して要求ができなくなっています。
メルは養父に性的幼児虐待を受けて、同性
異性同士の恋愛でも当てはまる事は存分にあると思います。
ただ、この漫画はゲイカップルを題材にしているから難しくなります、大多数のノンケの人と比べると世間一般から見られる目がかなり厳しくなります。
この事から二人の関係は公にできないし、親にも受け入れてもらえるかがわからずに苦しい思いをしています。
また親の立場から考えても、自分の子供からゲイだとカミングアウトされれば理解するのに苦しむと思います。
何故苦しむかといえば、互いに経験と知識が無いからでしょう。
その事はケインの母親は自分の息子のカミングアウトをすぐに受け入れる事ができなかったが、父親は学校の先生でそのような生徒と関わりあっていた経験がありました。
だから、ケインとメルに関しては父親の方が理解を示すのが早かったです。
この本を読んだストレートの方で、身近にLGBTに悩まれている方がいるかもしれません。
もし、この事を知らないままに過ごしていたら同性愛者を軽蔑や奇異な目で見てしまうかもしれませんが、この作品を読んだ時点で多少でも理解できているのではないかと思います。
ぜひ世の中がケインの父親のような人たちで溢れてくれる良いなっておもっています。
洋画のような構成
またこの物語は1部・2部・エピローグに分けて自分は読んでいます。
1部はケインとメルが出会い両親への紹介から結婚するまでの流れをヒューマニズム溢れる物語となっていますが、2部では連続殺人犯との緊張感溢れる攻防を描いたクライムサスペンスとなっています。
2部のクライムサスペンスは、1部でのケイン・メルが受けてきた差別や好奇な目を乗り越えてこれから二人には幸せな人生がまっているといった雰囲気をぶち壊す展開でとてもスリリングなお話です。
エピローグでは事件後の二人の様子が描かれて、二人が亡くなるまでを描いています。
養子をもらい子供もいます。
羅川先生には短編でいいので、またサスペンスを描いてもらいたいなって思いますね。
芦田愛菜が子役時にブレークしたドラマ、MOTHER(マザー)みたいな漫画を描いてみたらものすごい物ができるんじゃないかと思っています。
「朝がまたくるから」でやったか・・・
最後に
OVAでいいので5~6話くらいでアニメ化してほしい作品ですね。
したっけ、最後まで読んでいただきありがとうございました。
[著]羅川真里茂
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